仕事は大事よ。ここは私たちにとって、神聖な職場なのだし。色恋沙汰は勤務外にするべきよ。

 だって、ゲイボルグは今は身体を完全回復させるために、子竜になってしまっているし、竜騎士ジェイドさんの竜として稼働可能なのはブリューナグ一匹。

 それを喚べないとなると、今後の竜騎士人生に関わってしまう。

——喚ぶわ。

 私がサッと右手を挙げると、彼はその上に大きな手を重ねた。

 目を閉じれば、いつも通り、竜騎士ジェイドさんの中へと潜っていくような……そんな感覚。

 今ある契約は見覚えのあるゲイボルグのものと、その前に当然のように、彼の序列一位に躍り出た強力なブリューナグのもの。

 私がその契約を共鳴させれば、ひとりでに唇が動いた。

「……そんなもので、私が喚びだしを受けるわけにはいくまい。同じ方法で、喚び出せ」

 強い竜ブリューナグが、私のことを操作してる!?

 おそらくは、とんでもなく距離のある遠隔なのに……しかも、私のこれまでの心をすべて読んだ上で、絶対、面白がっているよね!?