「え……! そんなことあるんです?!」

 ジェイドさんがわざわざここまで私を探しに来たということはそれはあったんでしょうが、世界でも竜位一桁の竜ブリューナグが来ないなんて、なんだか考えがたくて思わず聞き返してしまった。

「ああ……だから、ラヴィ二アならば、来てくれるのではないかと……」

「そっ……そうですね。私、やってみます!」

 確かにあの竜を喚び出したのは、私だ。彼がこう考えたのも無理はない。

 ここは室内ではあるけれど、契約を共鳴させてブリューナグに城まで来て欲しいとお願いすることは可能だし、城の屋上にはあの黒竜ほどの巨体にも耐えうるような止まり木だって用意されている。

 喚び出ししてから出向いても、ブリューナグが来る前に屋上に行くことは可能なはず。

「すまない」

 正直に言ってしまうとその時の私は、ジェイドさんに『あの、告白の返事って、どうなりました……?』と、聞きたかった。

 けれど、竜がまだ来てくれないかもしれないと焦った彼に、そんな私事過ぎる私事については聞けなかった。