「ここでお願い出来る空気でもなくなって来たので、次の機会にするよ」

 ようやく腕の檻を外してくれたガルドナー団長は、仕方なさそうに肩を竦めて、ゆっくりと立ち去っていった。

 ジェイドさんは何を考えているのか、彼が見えなくなるまで背中をじっと見送り、ようやく私の方を見てくれた。

「ラヴィ二ア……すまない。突然だが、お願いがあるんだ。君を探していた」

「え? 私をですか?」

 不思議に思った私は、自分のことを指さした。ジェイドさんが私に……お願いを?

 確かにこんな廊下の突き当たりになんて、誰かを探しに来る以外で用はないかもしれない……。