「無理です!」
いやいやいや……好きでない男性とキスするなんて、王令があっても無理ですし『竜騎士に相応しい竜を喚び出す』という天啓に使用には、私にも選択権があると伝えられたはず。
ガルドナー団長、50匹の竜と契約を交わしていることからもわかる通り、計画的に竜との契約を進め、どんな時にも対応可能と言えるくらい、多種多様な竜と契約している。
そんなガルドナー団長が私の持つ『特殊な天啓』のことを聞いてから、なんだか目の色が変わったとは思っていた。けれど、お互いに手をくっつける程度で来てくれる竜は、もう来てくれないだろう。
そんなこんなで帰って来てからずーっとこのことで追い掛けられているので、私はもう本当に辟易してしまっていた。
あ……しまった。
ガルドナー団長の太い両腕に囲まれて、抜け出せなくなってしまった。ここはひと目の少ない場所なので、声をあげても気が付いてくれなさそうだし……どうしよう。詰んでしまった。
「……ジェイドには、したのに?」
聞きただすような言いようで、私により顔を近づけた。ガルドナー団長、垂れ目でワルっぽくて、確かに見た目は良い。



