見つかってしまった私は廊下を足早に歩きながら、わかりやすく言い寄って来るガルドナー団長の顔も見なかった。

「おいおい。昨日も、そう言っていただろう……? いつになったら空くんだ?」

「……竜騎士とは、宗教上の理由で食事出来ないんです!」

 私は駆け足になりそうなくらい早足になったけど、足の長いガルドナー団長に追いつかれてしまった。

 ……あ。彼のことを気にしていたら、廊下の行き止まりが迫っていた。曲がろうとしたら、手を付かれて見下ろされた。

「ジェイドと旅をしたのに……?」

 ぐいっと顔を近づけたので、私は仰け反って一歩引いた。

「それは、仕事だからです……!」

 私がミレハント竜騎士団に着任した理由は、ジェイドさんの竜を喚び出すこと。

 正確には喚び出すというか助けに行ったのだけど、子竜になったゲイボルグは今ジェイドさんの元に居るので、私が与えられた役目を果たしたことに違いはない。

 息が掛かるくらいに顔を近づけて来る、ガルドナー団長……いつにも増して、押しが強い。

「では、仕事ならば、竜と喚び出してくれると……? 俺に一番に合う竜を喚び出してくれないか?」