それを自覚したなら、もう話は早い。

 レックス。デルフィーヌを好きになれよ。そして、告白しろ。あの子はそれを喜ぶだろう。

 なるべく……拾ってくれたデルフィーヌの言いつけ通り、僕は良い子になろうとした。

 褒められたり喜んで貰ったり、それがどんどん進化していくと、もっとデルフィーヌの笑顔がみたくなった。

 つまり、デルフィーヌを、世界で一番に幸せにしたくなった。

 多くの本を読んだが、彼女の世代の女の子はレックスのような男に愛されることを望むらしい。近所の人や彼女の両親の証言も聞いた。「あの子は物心つく前から、レックスのことが大好きだからね」と。

 人は結婚し愛し愛されることを望むのならば、彼女の好きな人を振り向かせれば良い。

 多くの書物に書かれているセオリーによると恋愛のスパイスは、大体ライバルだ。

 だから、僕はレックスを挑発し、お前が要らないなら僕が彼女を恋人として貰うと明確に示した。

 単純な男の思考は、分かりやすい。強敵と争って、女性を勝ち取りたいと、より自らの中で価値を高めるのだ。