デルフィーヌの男の趣味は良いのか悪いのか、よくわからない。まあ、けど彼女が好きな奴ならば、僕はそれに協力するだけなんだけど……。

「デルフィーヌが他に気を取られたら、危なかっただろう? 別に家に帰れば僕は居るんだから、良いところはレックスさんにすべてお任せしただけだよ」

「お前……デルフィーヌの前では、やけに幼い猫被りやがって……一体、何がしたいんだ?」

 僕は食器洗いを続けながら、彼の質問に答えた。

「だから、なんだよ。人前で違う性格を使い分けることに、お前に何か関係あるのか? 僕は彼女の前では良い子だろう? デルフィーヌの望むように」

 こっそり集めた魔核を使って魔族としての覚醒を既に終わらせた僕は、以前より考えたり理解出来る幅が飛躍的に増えた。人間界で言うデルフィーヌの位置なんかも。

「あの子には、絶対に手を出すな……!」

「お前の恋人でもないのに、やけに彼女を気にするんだな」

 僕に煽られて、レックスはわかりやすく顔を赤くした。

 ……知ってるよ。お前だってデルフィーヌが好きなんだろう? けど、まだ気持ちが育ちきってないから、何も言わないんだ。