「……? あ。ごめん。レックス。助けてくれて、ありがとう」

 変な様子を見せたレックスだけど、結局はいつもの笑顔で私を見たので、私もつられて笑った。

 まあ……近い将来は、可愛い女の子たちを侍らせる人だけど、今はただの素敵な幼馴染みだもんね。

 助けてくれて格好良かったし、幼馴染みの役得として目の保養と心の潤いをさせて貰おう……!


◇◆◇


 足をくじいたデルフィーヌはレックスと帰って来て、せめてもの礼にと彼女の両親から夕食に誘われた。

 僕も一緒に夕食に参加したけど、快活な様子でユーモアある話しぶりに、まさに何処に出しても恥ずかしくない……そんな男だった。

 食後の団らんも一区切り付き、僕は食器を持って井戸へと向かった。今はこれが僕の仕事になっている。

「……お前、なんで、出て来なかった?」

 あれは流石にレックスには気がつかれただろうと思ったけど、こんなに早く確認されるとは思わなかった。

 優しげな顔に似合わず、意外と短気なのかもしれない。