こうしてぼろぼろの姿の時に拾われ、悪人の奴隷に堕ち良いように使われてしまった彼は、人の邪悪面を散々に見て「人など要らない。滅ぼすべきだ」と決意し、魔族としての覚醒後、魔界へ戻ると魔王軍の全権を握るため、父親すらも自らの手で殺めてしまう。

 こればかりは、私だって同じ人としては何の言い訳のしようがない。つまり、人は滅びてしまう原因を、自ら自分たちで作り出してしまったことになる。

 ……まさに、自業自得の出来事だった。

 唐突に道ばたからむくりと半身を起こした彼は、自分を見ていた私に目を向けて、何かを期待するようにして、じっと見つめていた。

 見るからに、私の仲間になりたそうにしているわね……なんだか、捨てられた子犬みたいな、可愛らしいきらきらした目をしている。

 うーん……私は今自分の居る状況を、冷静に考えた。

 面倒はごめんだわとばかりに、ここで彼を見捨てることだって可能だけど、本編だと一回世界滅ぶのよね……そして、私の幼馴染である勇者レックスが時を戻して、それを阻止することになる。