「良いのかな……いや、良くないよ! 俺らそれで儲けてんのに」

 レックスは口を尖らせて、いかにも気に入らないといった様子だった。

 今はレックスは冒険者をしつつランクを上げている状態だから、そういう時には魔物を倒した戦績が重要になる。だから、彼らには強い魔物がいる方が良いし、効率的に強くなって冒険者としてのランクも上げられてしまう。

「……冒険者には、そうかもね。私は採取に安全に行けるし、平和な方が嬉しいし……」

 私は近付いて来たレックスから、距離を取った。止めて止めて。女の子に対してそういう無意識に懐に入ろうとしようとするの、止めてよ。

 私に……好きになられて、どうするの。私以外にも、これからいっぱいそういう人が出て来るんだから、そっちと幸せになってよね。

「……なー。デルフィーヌ。俺が、なんか悪いことした?」

 最近レックスや幼馴染みの集まりには、私は参加していない。レックスは皆で楽しく仲良くしよう!  と、真顔で言っちゃうような真の陽キャだから、一人はぐれたようになっている私が気になっているようだ。