「……それって、最近デルフィーヌの家の薬屋に住み込みすることになった男に関係ある? グスタフだっけ?」

 耳が早いと思ったけど、それも当たり前のことかしら。この街はあまり人も居ないし、人間関係は密接で誰かが何か変わったことをすれば、一日も経たないうちに全員が知っている。

「グスタフは関係ないわ。けど、あの子はとても良い子よ。レックスも仲良くしてあげてね」

 ギュスターヴことグスタフは、ボロ布のようになっていたけど、お風呂に入れてあげたら見違えるように素敵になった。流石、世界を滅ぼすラスボスなのにヒーローレックスと人気投票一位を争っていただけのことはあると思う。

 黒髪黒目で人形のように整った顔立ちに、どこか妖しさを感じる色気。それに、何も知らないという純粋さと天真爛漫さ。危うい均衡の中で、なんだか不安になってしまう魅力。

「……良い子なのか?」

 レックスはいぶかしげに聞いたので、私は不思議になった。どうして、そんなことを彼が言ったのか、本当にわからなくて……。

「すごく、良い子だけど……え。どうしたの?」