ガラララ……。ピシャリ――。
何時もの保健室に逃げ込むと、保健のセンセが現れ、妖艶に笑う。
「あらぁ~いらっしゃい」
スタイル抜群の美女だが、何処かで、見覚えのある気が――……?
「ちょっと体調悪いンで、いーすか?」
「どぅぞぉん。お茶、それとも珈琲?」
「……じゃあ、コーヒーで。あるの?」
「今淹れるわね。ちょおっと待ってね」
「……」
コポポポ――……。珈琲の良い匂いが立ち昇り、部屋中を満たす。
「どったのジュンちゃん。また何かあった?」
白衣をはだけた美人センセーが、艶っぽい所作で髪を掻き揚げる。
「いや、まぁ……」
「ふふ。どうせまた女子生徒に追いかけられたんでしょ?」
「いやいや、……勘弁して下さい。何なんすかねアイツ等」
「ふふ……青春ね……?」
シュボッ――。
白衣のポケットから煙草を出すと、保健の先生は徐に火を点けた。
「先生もね、若々しい頃があったのよぉ? 今更だけどね」
ふぅ~……。白い煙を吐き出しながら明後日の方角に眼を向ける。
「解るわぁ~貴方の気持ち。でもね、時間はあっという間」
「……」
「時は経つ。過ぎ去った青春は戻らない。そういう物なの」
「……」
「今はこの成りだけど私もね? ブイブイ言わせてたわぁ」
「……」
妙に眠くなってきた。瞼を閉じて、子守歌でも聞いている気分だ。
「それが青春。ほろ苦いビター珈琲みたいなモノなのよぉ」
「……」
「お休みなさい。ふふ。良い夢を……」
スラリ――。保健の先生が机の引き出しから光るモノを取り出す。
「永遠の夢を……見せてあげるわねぇ」
「……」
チャキ――。鞘から出した艶光る玉鋼の正体は、片手小剣だった。

「きよぇぇええいっ!」
「――ッ!?」
――ドスッ! ビシビシッ。
勢いよく突き立った片手剣が、床張りのタイルに罅割れを作った。
「何すンだよ、くそ先公がぁッ!」
「……黙って寝てりゃいいものを」
バサァッ。白衣をはだけてビキニを曝け出すダイナマイトボディ。
艶光る褐色の肌に、モデル超えのプロポーションを誇る美魔女だ。
「ってお前ェ、レディじゃねーか!」
レディ・ハルトマン――。嘗て四神魔として共に活動した仲間だ。
そんな彼女が、一体、何故――? 元同朋でもあった自分を――?
「あら、久しいわねジュン。貴方も学校に?」
「来たくて来てる訳じゃねーけどな。命令だ」
暫しの黙考後、褐色の美魔女が得心めいた笑みを口元に浮かべる。
「生憎私もそう。今の私たちは敵対者同士よ」
「ッ? てお前、珈琲に睡眠剤混ぜたよな?」
驚きも束の間、――気になっていた疑問を率直にぶつけるジュン。
「そんな邪道、高貴なこの私がするとでも?」
「いやぁ絶対混ぜてンだろーよ、この女狐!」
神経質そうな細眉が、ピクッとヒステリックなつりあがりを示す。
「……聞き捨てならない台詞を吐いたわね?」
ゴゴゴゴゴゴーー……。レディの総身が、禍々しい神霊力を纏う。
チャキ。片手剣の切っ先が、瞠目するジュンの眼前に据えられる。

何時もの保健室に逃げ込むと、保健のセンセが現れ、妖艶に笑う。
「あらぁ~いらっしゃい」
スタイル抜群の美女だが、何処かで、見覚えのある気が――……?
「ちょっと体調悪いンで、いーすか?」
「どぅぞぉん。お茶、それとも珈琲?」
「……じゃあ、コーヒーで。あるの?」
「今淹れるわね。ちょおっと待ってね」
「……」
コポポポ――……。珈琲の良い匂いが立ち昇り、部屋中を満たす。
「どったのジュンちゃん。また何かあった?」
白衣をはだけた美人センセーが、艶っぽい所作で髪を掻き揚げる。
「いや、まぁ……」
「ふふ。どうせまた女子生徒に追いかけられたんでしょ?」
「いやいや、……勘弁して下さい。何なんすかねアイツ等」
「ふふ……青春ね……?」
シュボッ――。
白衣のポケットから煙草を出すと、保健の先生は徐に火を点けた。
「先生もね、若々しい頃があったのよぉ? 今更だけどね」
ふぅ~……。白い煙を吐き出しながら明後日の方角に眼を向ける。
「解るわぁ~貴方の気持ち。でもね、時間はあっという間」
「……」
「時は経つ。過ぎ去った青春は戻らない。そういう物なの」
「……」
「今はこの成りだけど私もね? ブイブイ言わせてたわぁ」
「……」
妙に眠くなってきた。瞼を閉じて、子守歌でも聞いている気分だ。
「それが青春。ほろ苦いビター珈琲みたいなモノなのよぉ」
「……」
「お休みなさい。ふふ。良い夢を……」
スラリ――。保健の先生が机の引き出しから光るモノを取り出す。
「永遠の夢を……見せてあげるわねぇ」
「……」
チャキ――。鞘から出した艶光る玉鋼の正体は、片手小剣だった。

「きよぇぇええいっ!」
「――ッ!?」
――ドスッ! ビシビシッ。
勢いよく突き立った片手剣が、床張りのタイルに罅割れを作った。
「何すンだよ、くそ先公がぁッ!」
「……黙って寝てりゃいいものを」
バサァッ。白衣をはだけてビキニを曝け出すダイナマイトボディ。
艶光る褐色の肌に、モデル超えのプロポーションを誇る美魔女だ。
「ってお前ェ、レディじゃねーか!」
レディ・ハルトマン――。嘗て四神魔として共に活動した仲間だ。
そんな彼女が、一体、何故――? 元同朋でもあった自分を――?
「あら、久しいわねジュン。貴方も学校に?」
「来たくて来てる訳じゃねーけどな。命令だ」
暫しの黙考後、褐色の美魔女が得心めいた笑みを口元に浮かべる。
「生憎私もそう。今の私たちは敵対者同士よ」
「ッ? てお前、珈琲に睡眠剤混ぜたよな?」
驚きも束の間、――気になっていた疑問を率直にぶつけるジュン。
「そんな邪道、高貴なこの私がするとでも?」
「いやぁ絶対混ぜてンだろーよ、この女狐!」
神経質そうな細眉が、ピクッとヒステリックなつりあがりを示す。
「……聞き捨てならない台詞を吐いたわね?」
ゴゴゴゴゴゴーー……。レディの総身が、禍々しい神霊力を纏う。
チャキ。片手剣の切っ先が、瞠目するジュンの眼前に据えられる。



