
プシュゥゥ――……。ガタンガタン――……。
無機質なだだっ広い無人コンコースに反響するマイクアナウンス。
『――列車ガマイリマス』
暫しの沈黙を経て、ホログラムミシェットが躊躇いがちに続けた。
「彼、木崎には、どうやら妹が居たみたいなの……」
「……。あぁ。死傷者一覧に載ってたンだっけな?」
ミシェットにそれとなく話を合わせる。
「まぁ今回の件と関係があるかは解らないけれどね」
「……」
沈黙を保つジュン。男に関して得体の知れない不気味さを感じる。
だが、同朋のサンダーをやられた今となっては既に看過出来ない。
直接的な接点こそないが、サンダーを通し間接的に関与している。
「……ッ」
妹を失った男の絶望も理解は出来る。このまま放ってはおけない。

男の標的がサンダーだけとも限らない。今度は自分かもしれない。
「そいつの素性、……どうにも洗い出せねェかい?」
「ジュン。何十年も追ってはいるけど。迷宮案件よ」
迷宮入り案件――。過去に起きた未解決事件等がそれに該当する。
が、天界ネットワークを以てしても未解明のまま。となると――?
「お前ェさんの沽券にも関わるってェもんだよな?」
「ほんと貴方って、とても嫌味な言い方をするよね」
「……俺が?」
「ジュン。ミシェットは多分、貴方を褒めてるのよ」
棘を帯びたミシェットの言葉遣いを、さり気なく是正するコズエ。



