Excalibur

 

 ビーッ! ビーッ! 外部での喧噪が賑々しさを徐々に募らせる。
『ピ、ガー!』
『ガー、ピー』
 ドガガガガ――……。
 銃撃音。どうもコンコース側では大きな騒動が勃発している様だ。
『――トクベツケイホウ、レベルファイヴ』
『――オイッ、ソコノバカツカマエロッ!』
『――ゴリヨウノミナサマガタニハ――ッ』
 けたたましく騒ぎ立てる人工音声。コンコースが何やら騒がしい。
『――トクベツケイホウ、レベルファイヴ』
「……ンだよ、食ってる時によ……」
 カミュを背負ったままラーメンを食うのも慣れてきた矢先だった。
「マスター、お勘定は?」
『オカンジョウ――百デジタルカミュトークン、二ナリマス』
「カミュトークン? なんだそりゃ? ンな金持ってねーよ」
『――百デジタルカミュトークン、オハライニナレマセンカ』
「しつけーな。ンなモン持ってねぇつってンだろ」
『――ハンザイケイホウ、――レベルワンデスゥ』
 ガラララ――……ピシャッ!
 出入口防弾シャッターが閉まり店内に隔離されるジュンとカミュ。
「……ぁ?」
『サギザイデタイホアンケンガイトウ、ガードマンヨビマス』
 フレンドリーだった人工音声が、物々しい語調へと変わってゆく。
『ガードマンガゲンチャクスルマデ、ウゴカナイデクダサイ』
「……ンだと?」
『ソコヲウゴカナイデッ。ハンザイシャヲ、タイホシマス!』
「……おい……」
 ガタン――。
 椅子から立ちあがると、ジュンは自動ドアを抉じ開けにかかった。
「ンだよこれ、めっちゃ硬てェ……」
 ギギギ――……。
 腕力で抉じ開けにかかるがビクともしない。直ぐに警報音が鳴る。
『ビーッ! ビーッ! ハンザイシャヲカクリシマシタッ!』
 融通の利かない人工音声がジュンの苛立ちを急速に募らせてゆく。
「……くそッ」
 ガンーーッ!
 ドアを蹴破りにかかるジュン。警報音の音量がでかくなってゆく。
『ビービーッ! キブツソンカイザイ、モイッチョウツイカ』
「あーッ、るっせーなッ!」
 ガン――ッ! 苛立ちをぶつけるが、強固な扉はビクともしない。
『ハンザイシャヲ、カクリシテイマスッ。ガードマンヲーー』
「駄目だこりゃ……カミュ、お前ェ何とか出来ねーのかよッ」
「……ぐぅ~……」
 ずっしりとした重量が背中に圧し掛かる。熟睡しきっている様だ。
「不味い……このままでは……ッ」
 焦燥を募らせるジュン。背中にはカミュ。身動きは制限下にある。