Excalibur

 透き通った柔肌。大きく開いた魅力的な眼。あどけなさの残る顔貌。
 金髪をツーテールに結わえた、スリムなプロポーションの美少女だ。
「……ジャスティンお義兄様っ!」
 少女の青い目に、涙が浮かび上がり溢れ出した。
「……ぅっ……良かったぁ……!」
「……ッ」
 呼吸をする間も忘れ、ジュンは慄然とその場に立ち竦んでしまった。
 涙を拭った瞬間、少女の満面にはちきれんばかりの笑みが広がった。
「良かったぁ……っ! 治ったんだーーーっ!!」
「……は? ……治った……?」
 ジャスティンの衰弱ぶりが記憶を掠めた。体調の悪さが気に掛かる。
「……」
 しかし、一体……――誰に?
 疑問は棚上げにして、先ず話を合わせた方が良さそうだと即断した。
「あ……あぁ。お陰様でな。良くなったよ。心配してくれて有難う」
「わぁっ……ほんとーに?」
 美貌を大仰に綻ばせながら、美少女が大きな安堵の溜め息を吐いた。
「はぁ~良かったぁ。ぁたしの秘密のおまじないが効いたんだねっ」
「……」
 少女の高い声音、あどけなさ。つい最近、会ったような気がするが?
 思い出せずにまごつくジュンの手に、少女が不意に手を触れてきた。
「……ッ」
 指先に触れた温もりにふと記憶の中の愛美の手の感触を思い出した。
「ねっ、ジャスティン義兄さま。朝食の前に少しだけ部屋に来て?」
「? ……お前の部屋にか?」
「そっ。こないだ模様替えしたんだっ♪」
 快活に応えながら、金髪ツインテの少女は嬉しそうに微笑っている。
「ほら、一緒に来てっ!」
「わッ!」
 軽快な靴音を立て、少女はジュンの手をとって回廊奥へと引っ張る。