ざわ、ざわ――……。
 城門前で談話するジュンとレムの周囲に、人だかりが出来ていた。
「おぉ。これは珍しい。レム隊長のストリップが拝めるとは……」
「王国に尽力してきた我々兵団に対する、王国側の御配慮では?」
「これは、もしや我等へのサプライズも期待できる状況なのか?」
 オォオォオ――……。
 集ってきた満身創痍の王国兵士達が、早速、悪乗りを加速させる。
「ヒュ―ヒュー! いーぜいーぜ、姉ちゃんヤッちまえよぉーッ」
「しゃあッ! ダンスよりワシ等の望みはどすこい相撲じゃあッ」
「おぉ。通ですなぁ! お主とは上手い酒が飲めそうですなあッ」
 ドッ。わはははは――……。
 一同爆笑――。俄に活気づいたとはいえ、酔狂的で好ましくない。
「おい、なんか言われてるけど……良いのか?」
「仕方ありません。だってボクの戦闘服は破れてしまってますし」
 身体の煤煙を叩きながら、レムは着衣の切れ端を無造作に放った。
 全裸にさほどの抵抗がないと見えて、羞恥心を抱く素振りもない。
「今は家臣のご機嫌を取っている状況でもなく、余裕もないので」
「……あぁ、そう」
 遠めに見る分には、人間と遜色ない身体に映る。小柄な美少女だ。
「……」
 レムの身体は、半機械化人間。要はサイボーグだと認識している。
 造形は確かだが、良く見ると関節のパーツの繋ぎ目が視認出来た。
「……替えの服とかは? 道具を具現化できるって聞いたけど?」
「そうですが。逆にこっちの方が動き易くてボク的には好きです」
「……あぁ、そう」
 ああ言えばこう言う。反論癖か? ジュンは憮然顔で口を閉ざす。
「減るモノでもなくて。家臣にどう見られようが構いませんけど」
「まぁ……、その、……いいんじゃないかな? 似合っているよ」
 無難に同意するジュン。価値観が違うのか、意見が噛み合わない。