ガララ――……。
 剣の切っ先を引き摺りながら、重症を負った師団が帰還してくる。 
「剣折れて……矢が尽きても……俺たちは……ぅぅ、ぐぅ……」
「まだじゃ、……ワシ等が居る限り、王都は……グランドラは」
 オォオォオ――……。
 傷だらけの家臣が、折れた剣、長槍を携え、城門前へ戻ってくる。
「無事だったかお前たち……カミュ王女は……ご無事かッ!?」
「おいアレ。上空のアレ見ろよ。アドルのモンスターだぞッ?」
 ざわわ――……。
 帰還の途上で遭遇した家臣達が、戦況を眼に口々に歓声を上げる。
「おぉ……、我らが王子だ。俺たちの王子が戦っておられる!」
「四神魔のジャッカルだ。俺たちに加勢してくれているぞッ!」
 オォオォオ――……。
 辛うじて生き残った家臣達が、各地から続々と王城に集ってくる。
「おい見ろ、この戦況……俺らも、まだヤれんじゃねーのか?」
「ヤれるヤれるゥッ。まだまだワシ等はピンピンしとるぞォッ」
「――しゃあッ! ヤっ……――ヤりましょおよぉおおッ!!」
 わぁっ――……。
 俄に活気づく城門前。逃げ出す魔獣を尻目に盛り上がる王国兵団。
「らぁッ!」
 ドドド。――ゴパァンッ!
 裏拳から回転肘打ちの連撃が魔獣を失神、それを更に蹴り飛ばす。
「……くッ」
 ゴッパァ――……。振り回した巨大穂先が魔物を薙ぎ倒してゆく。
 ジャッカルの近辺では、ジュンが大身槍を振り回して暴れている。
「へへ……強ェじゃねーか!」
「ケッ、アンタ程じゃねーさ」
 オォオォオ――……。
 軽口を叩き合う二人の元に、逃げ延びた家臣が続々集まってくる。
「こッからが俺らグランドラ王国兵団の意地の見せどころじゃあ!」
「おおッワシ等にかかりゃぁこんな雑魚モン恐るるに足りんわぁッ」
 わぁぁあああ――……。
 城内に湧き起こる歓声。怒号。爆裂音。形勢が逆転しつつあった。