ザぁァアあ――……。
先までの暗さが嘘の様に、明るく広がる光景が眼前に展開された。
「……ッ?」
ゴォォォオオ――……、パチ、パチ……ッ。
方々で火の手が上がり、吹きすさぶ強風に硝煙がたなびいている。
ギャァアアア――……。ドォン、ガァンッ!
巨大獣が咆哮を発し飛翔する蒼空の下、各地で爆発が起きている。
「……壊滅的だな」
呆然と呟くジュン。半ば黒炭と化した家臣の屍が至る箇所に点在。
『ギゲゴッ!』
『グガグァッ』
『キキィッ!』
勝利の雄叫びか、奇声を発しながら業物を振り回すモンスター群。
『ギゲグァッ』
『ゴゲゲアッ』
ズゥン――。ズゥン――。モンスターが歩く度に地面が振動する。
翼竜、爬虫類、ゴブリン族等、魔族が街中を悠々と闊歩している。
そこに、嘗て在ったであろう平穏長閑な城下町の面影は無かった。
「ジ、エンド……って訳か……ん?」
「……くっ」
ギィン――ッ。剣戟音が轟く。一角で短髪の少女が戦闘していた。
相手は全長三十フィート、高さ十フィートはあろうかという巨獣。
「……レムッ」
「遅いっ! 何やってたんですか王子っ!」
大型鋏を持つサソリ型の巨獣を相手に、レムは苦戦している様だ。
ギィン――。ガギィ――。
片手剣を器用に繰り、巨大な両手鋏の猛撃を辛うじて凌いでいる。
「くっ……王子、ボクの代わりに王女の護衛をっ!」
激闘の傍らで、物陰に隠れ脅えているドレス姿の少女を見つけた。
「……カミュッ」
――タッ。
反射的に地を蹴りつけ、少女の佇む居館の一角へと身を奔らせる。
「――こっちだ、カミュッ」
「……義兄さまっ!」
ダッ――。
手を引っ張ると、ジュンはモンスターの死角……路地裏へと走る。
「はぁ、はぁ……義兄さまっ」
息をきらしジュンを見つめるカミュの表情に、生気が戻っている。
「あぁ、……心配ない。まだ俺がいるよ」
気丈に振る舞うジュン。カミュを安心させるべく、笑顔を作った。
一国の王子たる者、亡国の窮地に立たされようと強くあるべきだ。
「……王城から大分離れているな……」
窺ってみると、王城からかなり離れた地点まで来てしまっていた。
半瓦解した遠景が見える。クローゼットには到達出来そうもない。
「義兄さま……色々御免なさい……っ」
「謝る必要なんかないよ。それより、この場を乗り切るのが先だぞ」
「……はいっ」
涙ぐむカミュの表情に、希望の色が戻っている。安堵するジュン。
「しかし……」
着衣を探るが、武器になりそうな物は無い。全くの丸腰のままだ。
『キュルルル』
『グぁッグぁ』
奇っ怪な雄叫びを上げて街を闊歩する異形の群れが……恐ろしい。
「義兄さま……っ」
「……くッ」
建物の陰に身を隠してはいるが、見つかるのも時間の問題だろう。
先までの暗さが嘘の様に、明るく広がる光景が眼前に展開された。
「……ッ?」
ゴォォォオオ――……、パチ、パチ……ッ。
方々で火の手が上がり、吹きすさぶ強風に硝煙がたなびいている。
ギャァアアア――……。ドォン、ガァンッ!
巨大獣が咆哮を発し飛翔する蒼空の下、各地で爆発が起きている。
「……壊滅的だな」
呆然と呟くジュン。半ば黒炭と化した家臣の屍が至る箇所に点在。
『ギゲゴッ!』
『グガグァッ』
『キキィッ!』
勝利の雄叫びか、奇声を発しながら業物を振り回すモンスター群。
『ギゲグァッ』
『ゴゲゲアッ』
ズゥン――。ズゥン――。モンスターが歩く度に地面が振動する。
翼竜、爬虫類、ゴブリン族等、魔族が街中を悠々と闊歩している。
そこに、嘗て在ったであろう平穏長閑な城下町の面影は無かった。
「ジ、エンド……って訳か……ん?」
「……くっ」
ギィン――ッ。剣戟音が轟く。一角で短髪の少女が戦闘していた。
相手は全長三十フィート、高さ十フィートはあろうかという巨獣。
「……レムッ」
「遅いっ! 何やってたんですか王子っ!」
大型鋏を持つサソリ型の巨獣を相手に、レムは苦戦している様だ。
ギィン――。ガギィ――。
片手剣を器用に繰り、巨大な両手鋏の猛撃を辛うじて凌いでいる。
「くっ……王子、ボクの代わりに王女の護衛をっ!」
激闘の傍らで、物陰に隠れ脅えているドレス姿の少女を見つけた。
「……カミュッ」
――タッ。
反射的に地を蹴りつけ、少女の佇む居館の一角へと身を奔らせる。
「――こっちだ、カミュッ」
「……義兄さまっ!」
ダッ――。
手を引っ張ると、ジュンはモンスターの死角……路地裏へと走る。
「はぁ、はぁ……義兄さまっ」
息をきらしジュンを見つめるカミュの表情に、生気が戻っている。
「あぁ、……心配ない。まだ俺がいるよ」
気丈に振る舞うジュン。カミュを安心させるべく、笑顔を作った。
一国の王子たる者、亡国の窮地に立たされようと強くあるべきだ。
「……王城から大分離れているな……」
窺ってみると、王城からかなり離れた地点まで来てしまっていた。
半瓦解した遠景が見える。クローゼットには到達出来そうもない。
「義兄さま……色々御免なさい……っ」
「謝る必要なんかないよ。それより、この場を乗り切るのが先だぞ」
「……はいっ」
涙ぐむカミュの表情に、希望の色が戻っている。安堵するジュン。
「しかし……」
着衣を探るが、武器になりそうな物は無い。全くの丸腰のままだ。
『キュルルル』
『グぁッグぁ』
奇っ怪な雄叫びを上げて街を闊歩する異形の群れが……恐ろしい。
「義兄さま……っ」
「……くッ」
建物の陰に身を隠してはいるが、見つかるのも時間の問題だろう。

