息を呑むジュン。目の前の宙空に、失踪した愛美が浮かんでいる。
「愛美……?」
あーっはっはっはっはーーー。
明朗快活な少女の笑い声が薄暗い殺風景な大聖堂一帯に反響した。
「ふはははっ。魔王ジャスティン! そなたの警護に馳せ参じたっ」
「……お前、バカだろ」
「ぁあ? ぁんたこそバカだろ? 敵に骨抜きにされてンじゃねー」
悪口雑言。ジト眼を向けるジュンに負けじと応戦する黒髪の少女。
「……敵? ……カミュが?」
「ぁんたのせーで大陸が滅茶苦茶な状態なのに、何やってンだよっ」
「……お前こそこんなコスプレ……」
「コスプレじゃないっ! ぁたしはアリエスっ! 四神魔の一人っ」
「は? ……四神魔?」
ギャーギャー。
騒ぎ立つ界隈。勃発した痴話喧嘩にカミュが口元を引き攣らせる。
「ちょっとぉ。この場は見逃してあげるからさ。ちょっと黙って?」
「はぁ? ぁたしが来たのはぁんたの始末も兼ねてだよ、バカ王女」
「――くっ」
唇を噛んで美貌を歪めるカミュ。愛美の口撃が覿面に効いた様だ。
「……ッ?」
新たな火種に依る口喧嘩が勃発……二人の間には訳ありとみえる。
「今日こそギッタンギッタンにしてやるからっ」
「こっちこそ浄化してやるっ、この化け狸っ!」
「……おい、よせ、止めろッ」
ジュンの制止を無視し、二人は気勢を荒げて臨戦態勢に突入した。
「――いくよ……」
「精霊よ、我に清浄なる力を……っ」
虚空から大鎌を取り出す黒髪少女。カミュは眼を閉じて詠唱中だ。
「止めろッ、――止めるんだ、愛美ッ!」
必死の叱責も、アリエスと名乗る少女の気勢を削ぐには至らない。
「――狂乱……っ!」
「……魔を滅する神聖なる力……ぅうっ」
キュルルルル――……ゴォッ!
宙空を旋回する大鎌が、祭殿で狼狽えるカミュ目掛け飛んでゆく。
「愛美……?」
あーっはっはっはっはーーー。
明朗快活な少女の笑い声が薄暗い殺風景な大聖堂一帯に反響した。
「ふはははっ。魔王ジャスティン! そなたの警護に馳せ参じたっ」
「……お前、バカだろ」
「ぁあ? ぁんたこそバカだろ? 敵に骨抜きにされてンじゃねー」
悪口雑言。ジト眼を向けるジュンに負けじと応戦する黒髪の少女。
「……敵? ……カミュが?」
「ぁんたのせーで大陸が滅茶苦茶な状態なのに、何やってンだよっ」
「……お前こそこんなコスプレ……」
「コスプレじゃないっ! ぁたしはアリエスっ! 四神魔の一人っ」
「は? ……四神魔?」
ギャーギャー。
騒ぎ立つ界隈。勃発した痴話喧嘩にカミュが口元を引き攣らせる。
「ちょっとぉ。この場は見逃してあげるからさ。ちょっと黙って?」
「はぁ? ぁたしが来たのはぁんたの始末も兼ねてだよ、バカ王女」
「――くっ」
唇を噛んで美貌を歪めるカミュ。愛美の口撃が覿面に効いた様だ。
「……ッ?」
新たな火種に依る口喧嘩が勃発……二人の間には訳ありとみえる。
「今日こそギッタンギッタンにしてやるからっ」
「こっちこそ浄化してやるっ、この化け狸っ!」
「……おい、よせ、止めろッ」
ジュンの制止を無視し、二人は気勢を荒げて臨戦態勢に突入した。
「――いくよ……」
「精霊よ、我に清浄なる力を……っ」
虚空から大鎌を取り出す黒髪少女。カミュは眼を閉じて詠唱中だ。
「止めろッ、――止めるんだ、愛美ッ!」
必死の叱責も、アリエスと名乗る少女の気勢を削ぐには至らない。
「――狂乱……っ!」
「……魔を滅する神聖なる力……ぅうっ」
キュルルルル――……ゴォッ!
宙空を旋回する大鎌が、祭殿で狼狽えるカミュ目掛け飛んでゆく。

