ドォン、ガァンッ!!
 直ぐ上階では、未だに破壊音と衝撃が起きている。苦戦中の様だ。
「……ッ」
 ジャッカルの安否も気になるが――。今は優先すべき事項がある。
 身体の節々がやたら痛むが、今は苦衷に蹲っている場合ではない。
「……くッ」
 タタタ――……。
 最上階へ至る迂回ルートを探しつつ、損壊中の回廊内を疾走する。
 崩落した瓦礫に阻まれ、螺旋回廊の一部は既に通行止めの状態だ。
 ロープ等を伝う外壁沿いルート、或いは飛行物体でもあれば――。
「……ッ」
 焦りを募らせるジュン。目的の最上階までの道程は思いの他遠い。
 きゃぁあああ――……。
 不意に下層から悲鳴が湧き立った。その声の響きには覚えがある。
「……カミュ?」
 ――タタ……タッ。
 上階へと伸びる存命中の螺旋回廊を前に――ジュンは足を止めた。
「……ッ」
 ジャスティンの隠した秘密が先か、カミュの護衛に向かうべきか。
 カンカン――ッ。
 ほぼ無条件で、ジュンの足は下階への螺旋回廊を駆け降りていた。
 ジャスティンとの約束以前に人として弱い者を護るのは当然の事。
「……くッ」
 だが、思いのほか体力の消耗が激しい。――護りきれるだろうか。