オォオォオ――……。
 土煙が立ち昇る手狭な回廊の床下に、亀裂と崩落穴が出来ていた。
「てめー、そっちどーなンだよッ!」
「……ッ」
 ギャギャギャ――……。
 積み上がった瓦礫の対岸で鋭利なワイヤの様な残響が鳴っている。
「……ッ」
 ガンギンゴンギンッ!
 金物の打ち鳴らす鈍い撃鉄音に交じり、ドォンッ! 大音が響く。
 震える居城。瓦礫の対岸ではどうやら熾烈な戦闘が勃発した様だ。
「……チッ」
 ――ガシュン、ガシュンッ。
 舌打ちするジュンの背後から、重量感のある機械の駆動音が近接。
「……くッ」
 穿たれた床下の崩落穴を一瞥するジュン。下階に続いている様だ。
 最上階、王子部屋まで目前まで来ていたが……ジュンは腹を括る。
『ギ、ギギ、ガ……』
 ガシュンッ! プシュゥゥゥ――……。
 濛々と立ち昇る土煙に、一つ目を紅く光らせる異形の影が見えた。
『ピピピ――ターゲット・補足』
「……あ?」
 人工音声が何やら黙々と稼働中だが、対岸が喧しく聞き取れない。
「大丈夫か、ジャッカルッ!」
『ホーミングミサイル・発射準備、3・2・1――』
 危うい――。本能的に察すると、ジュンは崩落穴に狙いを定めた。
「……くッ」
 ダン――ッ。 
 謎のカウントダウンに危機感を煽られ脱兎の如く地を蹴りつける。
『――発射!』
 シュボッ。――ドガァンッ!!
 射出音。噴き上がった三度の爆轟が居城の一角を微塵に粉砕した。