ズズゥゥン……。木っ端に砕けた鋼鉄製の瓦礫から光が差し込んだ。
「フン……揃いも揃ってバカの集会ってところか」
　カ――。ヒールの踵を打ち鳴らし、一体の影が一同の前に佇立する。
「きゃぁあああっ！」
「く……貴様……ッ」
　大きく口を開き、金髪少女が絶叫する。傍らでは歯噛みするロック。
「……ッ」
　暗い回廊に漏れる曙光の中から現れた襲撃者の姿に瞠目するジュン。
「お前は……」
　紡錘形の赤い眼。スラリと伸びた手足。モデル級のプロポーション。
　褐色に艶光る美肌を、薄地の水着で覆い隠しただけの煽情的な装束。
　肩の辺りで綺麗に揃えられたブロンドの髪を、微風に靡かせている。
「ジャスティン……久方ぶりだな」
「……誰だ」
　ギリィ――ッ。
　奥歯を噛みしめるジュン。懐かしみを感じるが敵か味方か解らない。
　左手に一振りの瀟洒なレイピアを携えている。どうやら剣士の様だ。
「フッ……やはり記憶は無いか……」
　睨み眼を向けるジュンに、謎の襲撃者は余裕たっぷりの含笑を返す。
「その様子じゃ……”儀式”は無事に済んだ様だな」
「儀式、……だと？」
「フッ。とぼけたフリを」
「ぐぬぬ……さっきから訳の解らぬ戯言をッ」
　問答する二人の間を、手をこまねいていた細身の男が割って入った。
「三銃士の一人として、尋常に……貴女と手合わせ願いたい！」
「ハッ。……雑魚が随分と威勢が良いな」
「待て、ロック。お前では相手にならない」
　ガ――ッ。
　勇むロックの肩を引っ掴むと、ジュンは一歩、慎重に前へ歩み出る。