キィ――……ン。
 耳鳴りがした。総身を奮わせるその霊気に、何処か懐かしさを催す。
「……ッ?」
「義兄さま?」
 硬直するジュンの異変に一早く感づいたか、カミュが小声をかける。
「どったの?」
「……いや、ちょっとな」
 直感的にジュンは察した。懐かしい何者か――が、直ぐそこに居る。
「待てロック。扉の傍を離れろ」
「は? ……何故?」
「言う通りにして、ロックっ!」
「はッ!」
 カミュに叱責され、三銃士の一人は慌てて大扉の前から飛び退いた。
「ですが、何故?」
「見てれば解るさ」
 メキメキィ……。軋轢音がして閂がひしゃげ、ボンッ。弾け飛んだ。
「きゃっ!?」
「な……なんとッ」
「……」
 ゴキ……ベキャァ――。
 瞠目する一同の前で、鋼鉄製の頑強な大扉が、歪んで変形してゆく。