Excalibur

 プァァ――……。ざわ、ざわ――……。
 冬のイルミネーションで装飾された駅周辺は人混みで賑わっていた。
 並んだ街路樹が眩いシャンパンゴールドにライトアップされている。
「っと。着いたぞ」
 ――ガォンッ。停車場にハーレーを止めフルフェイスメットを外す。
「っわあ! 綺麗ーぃ」
「……結構賑やかだな」
 カミュは足が着かない為、先に降り、両手で抱える様にして降ろす。
「お? 意外と重いな」
「あーそれ禁句よっ!」
 お叱りに、苦笑するジュン。やはり淑女として接する必要があろう。
「ハンバーグだったな」
「駅ビルの屋上とか?」
「あぁ。……定番だな」
 並んで歩くとかなりの身長差だ。学生カップルに映るかもしれない。



 駅ビル内のデパートはお揃いの服装に身を包んだペアが多い印象だ。
 家族連れも多い。多様な交友関係、多様な生活環境、人生模様――。
「ここだハンバーグ屋」
「美味しそーだねーっ」
 嬉々として入り口の暖簾をくぐる金髪少女。店員が怪訝な顔をした。
「あっ。お客様? お連れ様は……?」
「あぁ御免。俺だよ。この子は彼女だ」
「そうでしたか。ではご案内致します」
 慇懃に一礼して奥へと先導するウェイトレス。ジュン達が追従する。
「えー? 勝手に入っちゃ駄目なの?」
「入店時の接客が、必須なんだろうね」
「ふーん。一つ賢くなった気がするー」
 コポポポ……。
 洒落たシャンパングラスに水が注がれ、良さげな雰囲気に落ち着く。
「メニューがお決まりになられましたら、お報せ下さいね」
 ムーディーに映える間接照明、店内を演ずる軽妙なジャズサウンド。
「良かったね。さてメニューを選ぼっか」
「そだねー。んー。なにしよっかなぁ~」
 テーブルに腰掛け、メニュー表を手に取って対面のカミュに見せる。
「ほら。何でも好きなの選ぶといーよ?」
「ぅうーんん~。どれにしよっかなぁー」
「……」
 悩ましい表情でメニュー票にかじりつく少女を対面で見守るジュン。
 こうやっていると、旧知の親友だったかの様な錯覚を覚えてしまう。
(あ、……知人だっけか。確かあんま仲良くなかったけど……)
 天界の彼女は強い性格で、一方的に尻に敷かれていた記憶があった。
 天真爛漫だからこそか気も移り易く、振り回されて気疲れしていた。
(……)
 正直、カミュに関しては、……あまり良い思い出というものがない。
 虐待とまではいかないが、攻撃されてばかりいた印象が残っている。
 今こうして自分に興味を示してくれている理由自体が良く解らない。