ピーポーピーポー。けたたましい救急車のサイレン音が……止まる。
ざわざわ――……。青凛学園の校舎前は、今や群衆で賑わっていた。
「ちょっとそこを通してッ」
「急患一名お願いします!」
ガー。ゴロゴロ。ストレッチャーに乗せられ運ばれる高校生が一人。
「……止せよ、何ともねぇって……」
「喋らなくていい。後は任せてくれ」
「変だな。こんな火傷見た事がない」
同乗した二名の強面の救急隊員が口を揃えてジュンを押し黙らせる。
「ちょっと君は重要参考人なんでね」
「署にも連絡済だ。覚悟するンだな」
「お、おいッ」
バタム――。ブロロロ……。有無を言わさず病院へ出発する救急車。
ピーポーピーポー。遠ざかるサイレン音を残し喧騒に包まれる学園。
「おい、二組のジュンだってよ。最近マジ物騒だよなぁ」
「三組の武士も軽い火傷だって? どーなってんだ一体」
ざわざわ――……。
群衆から外れた閑所では四神魔による緊急談議が執り行われていた。
「で、どんな奴だった? 詳細に伝えろ」
「……いや、良く解ンねぇンだ。それが」
「は。節穴か? 諜報は得意分野だろ?」
レディの恫喝めいた叱責を浴び、ジャッカルの語調が小さくなった。
「妙な服と、技……? 有り得ねーんだ。普通の人間じゃねェ」
「有り得ない? 現にこうしてお前もジュンも負傷しただろ!」
「いや、あれだけの電磁波を出せて、何もねェ人間なンて……」
言い淀むジャッカル。先の急襲を浴びてフェンスから落ちた矢先だ。

不明瞭な疑問点だけが残る。が――、ゴーストの尻尾は確り掴んだ。
「ざけやがってンの野郎。今度会ったら眼にモノ見せてやンよ」
「ジャッカル……。ゴーストもいいが、重要な事を忘れてるぞ」
レディが白衣の外ポッケから出した手紙をジャッカルの面前に翳す。
「秘密の会合が、――近い。妙な相手は速やかに処分しとけ!」
「ケッ。またあの気持ち悪ィ島での怪しい変態パーティーかよ」
顔をしかめるジャッカル。厳めしい面相を象るレディが襟を糺した。
「機密情報が一同に会する神聖な場だ。言葉を慎めジャッカル」
「……遠慮しとくよ。俺はパスだ。が……ジュンはどーする?」
首を左右に振るジャッカル。レディが白衣のポッケに手を突っ込む。
「当然、奴もこの私がしょっぴくさ。私の裁量の範囲内でな!」
「ッて今のあんたはジュンと敵対者同士じゃなかったッけか?」
「……あぁそれもそうだな。私とした事が、……耄碌したか?」
はぁと嘆息すると、レディは切れ長の眼を明後日の方角へと向けた。
「……戻って来いジュン。お前は私達の元鞘に収まるべき男だ」
「同感だ。正義面ぶってる割にゃあんた、俺等と変わンねぇよ」
「あぁ。まったくもって私も同意見だ。戻って来いよ、ジュン」
賛同する二人の神魔。肩を並べる二人の眼上に輝く日差しが眩しい。
ざわざわ――……。青凛学園の校舎前は、今や群衆で賑わっていた。
「ちょっとそこを通してッ」
「急患一名お願いします!」
ガー。ゴロゴロ。ストレッチャーに乗せられ運ばれる高校生が一人。
「……止せよ、何ともねぇって……」
「喋らなくていい。後は任せてくれ」
「変だな。こんな火傷見た事がない」
同乗した二名の強面の救急隊員が口を揃えてジュンを押し黙らせる。
「ちょっと君は重要参考人なんでね」
「署にも連絡済だ。覚悟するンだな」
「お、おいッ」
バタム――。ブロロロ……。有無を言わさず病院へ出発する救急車。
ピーポーピーポー。遠ざかるサイレン音を残し喧騒に包まれる学園。
「おい、二組のジュンだってよ。最近マジ物騒だよなぁ」
「三組の武士も軽い火傷だって? どーなってんだ一体」
ざわざわ――……。
群衆から外れた閑所では四神魔による緊急談議が執り行われていた。
「で、どんな奴だった? 詳細に伝えろ」
「……いや、良く解ンねぇンだ。それが」
「は。節穴か? 諜報は得意分野だろ?」
レディの恫喝めいた叱責を浴び、ジャッカルの語調が小さくなった。
「妙な服と、技……? 有り得ねーんだ。普通の人間じゃねェ」
「有り得ない? 現にこうしてお前もジュンも負傷しただろ!」
「いや、あれだけの電磁波を出せて、何もねェ人間なンて……」
言い淀むジャッカル。先の急襲を浴びてフェンスから落ちた矢先だ。

不明瞭な疑問点だけが残る。が――、ゴーストの尻尾は確り掴んだ。
「ざけやがってンの野郎。今度会ったら眼にモノ見せてやンよ」
「ジャッカル……。ゴーストもいいが、重要な事を忘れてるぞ」
レディが白衣の外ポッケから出した手紙をジャッカルの面前に翳す。
「秘密の会合が、――近い。妙な相手は速やかに処分しとけ!」
「ケッ。またあの気持ち悪ィ島での怪しい変態パーティーかよ」
顔をしかめるジャッカル。厳めしい面相を象るレディが襟を糺した。
「機密情報が一同に会する神聖な場だ。言葉を慎めジャッカル」
「……遠慮しとくよ。俺はパスだ。が……ジュンはどーする?」
首を左右に振るジャッカル。レディが白衣のポッケに手を突っ込む。
「当然、奴もこの私がしょっぴくさ。私の裁量の範囲内でな!」
「ッて今のあんたはジュンと敵対者同士じゃなかったッけか?」
「……あぁそれもそうだな。私とした事が、……耄碌したか?」
はぁと嘆息すると、レディは切れ長の眼を明後日の方角へと向けた。
「……戻って来いジュン。お前は私達の元鞘に収まるべき男だ」
「同感だ。正義面ぶってる割にゃあんた、俺等と変わンねぇよ」
「あぁ。まったくもって私も同意見だ。戻って来いよ、ジュン」
賛同する二人の神魔。肩を並べる二人の眼上に輝く日差しが眩しい。


