彼女はどんな風にあの白猫の想いを受け取るだろうか。ステラから受け取る星のかけらは、きっと優しい形をしている。

 あの絵本はもう新しい役目を始めている、と燈は思う。かつて自分がそうしてもらったように。今度はこの店で、迷子になった誰かの心に静かな光を照らしていく。

 少女が読み終えた頃、店の外には夕方の気配が降りてきていた。彼女は名残惜しそうに絵本を閉じ、表紙を撫でる。

「......この絵本、すごく素敵ですね」
「そうでしょう。私もずいぶん助けられました」
「また、来てもいいですか?今度他の本もゆっくり見たいです」
「勿論。いつでもどうぞ」

 少女が帰った後、本を求める人々が、ひとり、またひとりと扉を開けてゆく。ページを捲る音と、ステラの喉を鳴らす音が今日も変わらず静かに重なっていた。