「……俺さ、ほんとは萌音のこと好きなんだ」

 驚きの告白によって、ボクのうっすらピンク色の両耳がピクンと反応した。

「気づいたら、あいつのこと意識してんだよ。
 俺の気持ちに気づいてるんかな、どうなんだろ。
 萌音に聞きたいし知りたいし、たまらなくなる。
 でも情けないとこ見せたくないじゃん?
 カッコつけて平気な顔してさ。
 やっぱ俺バカだわ。
 好きな子に見せたくないから隠すとか。
 萌音は、あいつは優しい。
 小さいときからそうだったんだぜ、ミルク。
 ひとつしかないお菓子をさ、自分も食べたいのに俺くれるんだよなー。
 自分のことより人のことばっか世話焼いて。
 俺、萌音に当たり前みたいに甘えて。
 だから俺のこと世話の焼けるめんどくせー奴とかしか思ってないだろーな。
 ……萌音、いつも笑ってるけど家で泣いてるときもあるんじゃないかなって。泣かしてんの俺かもって。
 ミルクは萌音が泣いてるところ見たことあるだろ?
 ······って言っても分かんないか。
 萌音はさ、俺のことどう思ってるんかな。
 好き──だと嬉しいけど。
 他に好きな奴とかいたら失恋確定。
 ……ミルク。俺、今苦しい。
 好きになるって、こんなに苦しいんか?
 ずっとこのまま苦しいままなんかな、ミルク」

 浬の心の叫びを聞いた。
 こんなにも顔を歪める表情の浬、見たことがない。
 ボクは大きな間違いを犯していたと気づく。
 浬は決して恋を知らなかったわけではない。
 むしろ恋に焦がれて溺れてしまうくらいに恋を知っていたんだ。
 浬はボクに助けを求めている。
 助けたい。
 でもどうやって?
 何か伝える方法はないのか。


 
 ──おりひめさまと、ひこぼしさま。
 
 どうかボクに言葉を与えて下さい。
 今だけでいい。
 今、浬に伝えたい。
 どうかボクらに夢を見させて下さい。







 突然、目の前に雷鳴とともに閃光が走る。
 何も見えない。
 ただ光だけがそこにあった。
 浬はそこにいるのか?
 ボクは以前にも触れたことのある温もりを感じていた。