闇オークションに出品された人魚のオレ、落札したマフィアに溺愛されちゃってます!? ~神海SIREN暗部界~

 それからは――獣みてぇに交わってた。

 何故か墨星の尾びれが二本の足に変わっていたから、ここぞとばかりに抱く。
 俺の男性器は驚くほどに猛っているのに、墨星の後孔は、ほとんど逆らうことなく飲み込み、射精を求めるように、ぎゅうぎゅうと締め付けてくる。
 ぬるついた感覚で肉竿を締め上げる墨星の後孔は最高だった。

 月明りだけの浜辺で、美しい墨星が俺のカラダで喘ぐのが、たまらない快感だった。

 記憶は、ほとんど飛んでるっていうのに、墨星の肉体の魅力と、俺の魂に刻まれた思い出。
 それだけで、お互いを貪りあってた。
 人魚は淫乱だと聞いたことがあったが、墨星は俺の体にしがみついて、もっともっととねだる。

 「伏竜~……」

 甘えて媚びるような声が堪らない。

 精液をぶちまけられても、美味そうに舐めとって、キスしてきた。
 もしかしたら、こいつも俺のことが好きなんじゃないか――そんな幻想を抱くほどに墨星は俺を求め、背中に爪を立てる。

 墨星を愛してる。忘れたくない――俺はその気持ちだけで墨星を抱いていた。少しでも離れれば忘れてしまいそうで……。
 いや、実際、忘れてきていた。
 手の平から零れる砂のように、墨星が脳裏から消えてゆく。

 こいつと出逢ったのは、いつだったか?
 どうして俺はマフィアで地位を築こうと思ったのか?
 俺はどうして砂浜でセックスしてるのか?
 俺は――どうしてこいつのことが、こんなに愛しいのか――。

 嫌だ!

 忘れたくない!

 他の何を忘れても、こいつのことだけは離したくない!

 そうして、俺はこいつのことを強く抱きしめた。こいつも俺を抱きしめ返す。

 それが墨星との最後の記憶になったのだった……。

 ◆◆◆

 目が覚めたのは、クッソ汚い小屋だった。
 中立地帯の乞食の小屋らしい。
 黄狗と名乗るじいさんは、俺の真横で寝てたワケのわからん小僧の為に俺を助けたと言う。

 その小僧は、顔はこの世のものとは思えないくらいの美形だったが、頭はアホの極みだった。
 人魚らしいが、全裸のまま二本の足をぱかぱか開いている。
 黄狗のじいさんも居るってぇのに、恥じらいもクソもねぇのかコイツは!
 何故か苛立って「止めろ!」と怒鳴ったが、それからも墨星というアホに振り回されっぱなしだった。

 どこか聞き覚えのある名前に違和感を覚えつつ、俺は気づけば墨星ばかりを見ていた。

 墨星の一挙手一投足から目が離せない。

 そもそも、こいつはアホだが顔は人間離れした美形の為、人ごみで尻を触られたり、裏路地に連れ込まれそうになったりしている。抵抗しろアホがボケが!
 その度に不届きなクソどもを締め上げていたが、墨星自身に全く危機感がない。
 地上は平和だとでも思ってんのか。おめでてぇな。

 「月餅、食べたいな~」

 と店の前でチラチラこちらを伺ってくる。たかる癖を覚えやがって……!
 無視してりゃあいいんだろうが、うるせぇから買ってやると――。

 「シャガガガガガガガガガガ!」

 食い方が汚ぇ!
 ハムスターみたいに頬を膨らませて食う姿に、墨星に見惚れていた店の人間や通行人が残念そうに首を振る。何かスカッとした。

 「伏竜! ありがとな!」
 その笑顔に何故だか胸が熱くなったりもした。

 そうして朱雀門派のアジトを目指した時だった。

 「あ……」

 墨星が鳳雛に捜魂を受けた時、あいつは蕩けた目をしてた。
 鳳雛とのキスで腰が砕けたみたいになってるあいつを見て、俺の中の何かが燃え上がる。
 鳳雛相手でも発情すんのかよ! 鳳雛を殺してやる! と魂が訴える。

 それからも墨星は目を離せば、ティグルとセックスしようとしたり、自由奔放の極みだった。
 俺が止めなければ、本当に最後までしていただろう。
 人が寝てる傍でキスしやがって!

 俺はこいつばっかり目で追ってるのに、何だか不公平にすら感じる。
 淫乱極まりねぇクソ人魚が!! とワケのわからない苛立ちすら覚えていた。

 でも――墨星が拉致され、青龍門派の奴らにレイプされてから、俺は深い後悔を覚えた。

 もっと優しくしてやっていれば。もっと傍で守ってやっていれば。
 もっと愛――いや、何考えてんだ俺!?

 それから俺は自分でもワケがわからなかったが、ずっと墨星を抱きかかえていた。
 誰にも触らせたくねぇ。
 それに一人にしちまうと、何処かに消えてしまう気がして。

 自分でもわけがわからずにいると、墨星に袖を引かれた。
 風呂の入り方がわからないらしい。
 そりゃあ海にシャワーは無ぇか。

 体を洗ってやると、無防備に肌を預けてくる。
 改めて見ると、素晴らしく美しい奴だった。
 肌は真珠のように滑らかで、手足の爪は色づいた珊瑚のようだ。

 そんな墨星の股から、どろりとザーメンが零れる。
 俺達が玄武門派で墨星の居場所を聞くまで、散々レイプされたからだろう。
 俺は唇を噛んだ。

 もっと早く向かえれば――いや、もっと俺が強ければ……!

 後悔する俺に、あいつはセックスをねだってきた。

 『伏竜だけが欲しい』と言いながら。