アホがボケがバカがタコが!!
俺は心の中で、ここぞとばかりに墨星を罵った。
地上は危ないと伝えたのに、浮浪児を助けて玄武門派に捕まりやがっただと!?
そこから青龍門派に売られて、闇オークションの目玉にされてやがるとか……アホが!
墨星が捕まったのもショックだったが、俺のことを微塵も覚えてねぇのもダメージがデカかった。
多少、外見が変わった自覚はある。
眼帯もしているしタトゥーも入れた。墨星に憧れて髪も伸ばした。
だが外見が変わったかもしれねぇが、俺は俺だ。
あれだけ会話したのに。俺の目まで舐めて治してくれたのに。
二十年で、忘れられるような思い出だったのか!?
俺の中では、あいつが笑顔で覚えてくれていると想像していたんだ。
『嫁になりにきたぞ~!』って、笑いながら……。
(嫁になるって言ってただろうが……クソッ!)
アイツは自分がこの後にどんな目に遭うかもわからずに、ふよ~っと泳いでいるが……。
その美しい黒髪、整った顔立ちに蒼空のような鱗は見る者を惹きつける。
まるで泳ぐ宝石だった。
悔しいが、相変わらず綺麗だ。惚れ直している自分に気づいて自己嫌悪した。
「美しい……」
「人魚って、こんなに綺麗なのか……」
「マジでやべぇよ……」
「俺も欲しい……」
墨星の美貌に門弟達まで魅了されだした。
ふらふらと水槽に近づく輩まで出てきて、俺は止める。
ふざけんなよ! こいつへの想いは俺の方が長くて重てぇんだ!
手前ら一見と一緒にするんじゃねえ!
腹が立ったのと、そういえばこいつ甘い物食べたいとか昔に言ってたことを思い出し、月餅を取り出す。
修仙者は食えねぇが、オークションの客用の食い物に、墨星は興味津々だった。
投げて食わせてやると、凄まじい勢いで貪り喰っている。
「シャガガガガガガガガガガガ!」
しかも食い方が、くっそ汚ぇ! 水槽にボロボロ落として食うんじゃねぇよ!
くそっ! でも『食い方が汚ぇのも可愛い』とか思った自分が嫌だ!
マジでこいつに首ったけなのは、二十年前から変わってねぇのか!
「ウマッ! これウマッ! もっとくれ~!」
まるで餓鬼だと思いつつも与えてると、水をぶっかけられたりした。ペッ!
こ、この野郎……! まるで初めて会ったみたいなツラしやがって!
俺の二十年を舐めてんのか!
しかも白月とかいう女を捜して地上に来たと聞いて、俺の怒りと嫉妬は頂点に達した。
ふざけんなよ!!
こっちはお前と過ごす未来だけを夢見てた!
なのに手前は同じ人魚の女と、よろしくやってたっつうのかよ!
墨星は『白月』『白月』と繰り返す。
そんなに愛してんのかよ……。
正直、泣きたかった。
その女とこいつが、海の底でイチャついてる光景まで想像して、ブチ切れそうになる。
白月とかいう女について墨星が熱く語れば語る程、俺の中の嫉妬の炎が燃え上がった。
こんな奴、汚ぇ親父に、とっとと売られちまえとすら思う程に。
だから、愛が反転した嫉妬と憎悪でオークションを止めなかったんだ。
止められる力なんて無かったしな。
ちょっと痛い目を見せて、後で何とか助けるつもりだった。
そうでもしねぇと、懲りねぇだろこのアホは。
俺は怒りと嫉妬と悲しみで、全然こいつの心根が見えてなかった。
そうしたら墨星が言ったのだ。
『溺れていたら、誰でも助ける』と。
こいつは……真性の馬鹿野郎だと思った。
それと同時に、そのお人好しさに惚れ直す自分も居た。
きっと何度捕まっても、助けを求める奴がいる以上、近づいていくのだろう。
人間がどんなに汚いかもわからずに。
(馬鹿野郎……! マジで馬鹿野郎が……!)
そんな馬鹿だから、愛してやまなかった。
墨星の美しさだけに惚れたんじゃない。
馬鹿がつくぐらい純粋で、素直で、清らかだから、生涯を捧げてもいいくらい愛した。
嘘と虚飾にまみれた邪修マフィアの世界で生きてきて、墨星との思い出だけが煌めいて見えたのだ。
だから、売却された墨星を抱えて、俺は老大に喉のタトゥーを見せて宣言してた。
「この龍の逆鱗に賭けて、出来ねぇ事は言わねぇ。それはアンタから教わった事だ。それでも足りねぇなら、この残った目玉でも心臓でも好きなだけ持っていきやがれ。惜しくはねぇよ」
オレの体じゃ臓器を売っても奴隷になっても10億ロンには到底足りねぇだろう。
が、それでも何としてでも墨星だけは助けたかった。組織に責任を追及されたとしても。
だが、何よりも……。
忘れていたっていい。他の誰かを愛していてもいい。
俺は手前を何度でも愛するから。
手前だけしか愛せねぇから。
そうして墨星に口づけして、海へと逃がす。
この広い海の何処かにいる、愛しい人魚を追って生きると決めたのだ。
俺は心の中で、ここぞとばかりに墨星を罵った。
地上は危ないと伝えたのに、浮浪児を助けて玄武門派に捕まりやがっただと!?
そこから青龍門派に売られて、闇オークションの目玉にされてやがるとか……アホが!
墨星が捕まったのもショックだったが、俺のことを微塵も覚えてねぇのもダメージがデカかった。
多少、外見が変わった自覚はある。
眼帯もしているしタトゥーも入れた。墨星に憧れて髪も伸ばした。
だが外見が変わったかもしれねぇが、俺は俺だ。
あれだけ会話したのに。俺の目まで舐めて治してくれたのに。
二十年で、忘れられるような思い出だったのか!?
俺の中では、あいつが笑顔で覚えてくれていると想像していたんだ。
『嫁になりにきたぞ~!』って、笑いながら……。
(嫁になるって言ってただろうが……クソッ!)
アイツは自分がこの後にどんな目に遭うかもわからずに、ふよ~っと泳いでいるが……。
その美しい黒髪、整った顔立ちに蒼空のような鱗は見る者を惹きつける。
まるで泳ぐ宝石だった。
悔しいが、相変わらず綺麗だ。惚れ直している自分に気づいて自己嫌悪した。
「美しい……」
「人魚って、こんなに綺麗なのか……」
「マジでやべぇよ……」
「俺も欲しい……」
墨星の美貌に門弟達まで魅了されだした。
ふらふらと水槽に近づく輩まで出てきて、俺は止める。
ふざけんなよ! こいつへの想いは俺の方が長くて重てぇんだ!
手前ら一見と一緒にするんじゃねえ!
腹が立ったのと、そういえばこいつ甘い物食べたいとか昔に言ってたことを思い出し、月餅を取り出す。
修仙者は食えねぇが、オークションの客用の食い物に、墨星は興味津々だった。
投げて食わせてやると、凄まじい勢いで貪り喰っている。
「シャガガガガガガガガガガガ!」
しかも食い方が、くっそ汚ぇ! 水槽にボロボロ落として食うんじゃねぇよ!
くそっ! でも『食い方が汚ぇのも可愛い』とか思った自分が嫌だ!
マジでこいつに首ったけなのは、二十年前から変わってねぇのか!
「ウマッ! これウマッ! もっとくれ~!」
まるで餓鬼だと思いつつも与えてると、水をぶっかけられたりした。ペッ!
こ、この野郎……! まるで初めて会ったみたいなツラしやがって!
俺の二十年を舐めてんのか!
しかも白月とかいう女を捜して地上に来たと聞いて、俺の怒りと嫉妬は頂点に達した。
ふざけんなよ!!
こっちはお前と過ごす未来だけを夢見てた!
なのに手前は同じ人魚の女と、よろしくやってたっつうのかよ!
墨星は『白月』『白月』と繰り返す。
そんなに愛してんのかよ……。
正直、泣きたかった。
その女とこいつが、海の底でイチャついてる光景まで想像して、ブチ切れそうになる。
白月とかいう女について墨星が熱く語れば語る程、俺の中の嫉妬の炎が燃え上がった。
こんな奴、汚ぇ親父に、とっとと売られちまえとすら思う程に。
だから、愛が反転した嫉妬と憎悪でオークションを止めなかったんだ。
止められる力なんて無かったしな。
ちょっと痛い目を見せて、後で何とか助けるつもりだった。
そうでもしねぇと、懲りねぇだろこのアホは。
俺は怒りと嫉妬と悲しみで、全然こいつの心根が見えてなかった。
そうしたら墨星が言ったのだ。
『溺れていたら、誰でも助ける』と。
こいつは……真性の馬鹿野郎だと思った。
それと同時に、そのお人好しさに惚れ直す自分も居た。
きっと何度捕まっても、助けを求める奴がいる以上、近づいていくのだろう。
人間がどんなに汚いかもわからずに。
(馬鹿野郎……! マジで馬鹿野郎が……!)
そんな馬鹿だから、愛してやまなかった。
墨星の美しさだけに惚れたんじゃない。
馬鹿がつくぐらい純粋で、素直で、清らかだから、生涯を捧げてもいいくらい愛した。
嘘と虚飾にまみれた邪修マフィアの世界で生きてきて、墨星との思い出だけが煌めいて見えたのだ。
だから、売却された墨星を抱えて、俺は老大に喉のタトゥーを見せて宣言してた。
「この龍の逆鱗に賭けて、出来ねぇ事は言わねぇ。それはアンタから教わった事だ。それでも足りねぇなら、この残った目玉でも心臓でも好きなだけ持っていきやがれ。惜しくはねぇよ」
オレの体じゃ臓器を売っても奴隷になっても10億ロンには到底足りねぇだろう。
が、それでも何としてでも墨星だけは助けたかった。組織に責任を追及されたとしても。
だが、何よりも……。
忘れていたっていい。他の誰かを愛していてもいい。
俺は手前を何度でも愛するから。
手前だけしか愛せねぇから。
そうして墨星に口づけして、海へと逃がす。
この広い海の何処かにいる、愛しい人魚を追って生きると決めたのだ。



