神海SIREN暗部界

 わ、わあ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!
 オレは顔を手で覆う。
 こんな流れじゃなく、もっとロマンチックな状況で告白したかったのに!

 オレは顔を押さえてワアワア言ってしまう。

 「わ、忘れてくれ~! 恥ずかしい!」
 オレが叫ぶと、伏竜に顔を覆う両手を取り除かれて、唇を重ねられた。
 そして告げられる。

 「……忘れねぇよ。今度こそ、な」
 「思いだしたの……?」
 オレが船での伏竜の記憶が戻ってきたのかと期待するも、伏竜は首を振った。

 「……いや……。墨星との記憶は、黄狗の家で出逢った時から変わってねえ」
 「そっか……」
 思わずガックリきてしまったけど、それを伏竜自身が悔いているようだった。

 「すまねぇな。思いだしてやれなくて……」
 その台詞にオレは伏竜を励ますように、両手を挙げた。

 「全然! だいじょぶだって! 忘れたなら、新しい思い出いっぱい作っていこう! オレ、そういうの得意だからさ! 伏竜にいっぱい思い出、作ってやるよ!」
 行動力だけはあるって、長老にも褒められたんだとエッヘン顔してると、伏竜が笑った。

 「ははっ、墨星……手前ってヤツは……」

 それから耳元で囁かれた。

 「俺も好きだ……。墨星……」

 どくん と心臓が跳ねる。
 記憶を失くす前の告白とは違うけど、確かにそこには愛情と好意があって……。
 オレは、うるっと来て伏竜の胸にしがみついてた。
 伏竜は『泣き虫小僧』って笑いながらも、キスで涙を拭ってくれた。

 それからは、バスルームで洗いっこした。
 今度はオレが伏竜の髪を洗う。でも……。

 「伏竜~!『ぼでぃーそーぷ』で、髪の毛洗うとゴワゴワになるぞー」
 「馬鹿野郎! それは体用だ! 道理で痛ぇと思ったら!」
 「へ~! ニンゲンって、体を洗う位置で、使う道具が違うんだー。変なのー」
 「いいから、さっさと流せ! 櫛が通らなくなるだろ!」

 人魚は特に何もしなくても肌ピカピカ、髪うるつやだから知らなかった……。

 伏竜の大きな背中を『ぼでぃーそーぷ』で洗って、オレは懸命に洗浄で奉仕する。
 ちょっとふざけてオレの体で伏竜の背中を洗ったりした。
 伏竜もオレの体を洗ってくれた。

 「ほら、腕上げろ」
 「んーっ!」
 「上げすぎだ! 背伸びまでしてどうする!」

 伏竜の手つきは優しくて、また惚れ直してしまった。

 それから湯舟に二人で浸かった。
 伏竜に寄りかかるようにして広いバスタブとかいうものに入ってると、伏竜が背後から髪を撫でてきた。
 愛し気な手つきに伏竜の想いを感じて、その胸に寄りかかる。
 すると、体に伏竜の剛直があたった。それにビクッとした。

 (でっか……! こっ、こんなのオレのナカに入ってたんだ……)

 何となく照れてしまう。
 あれだけ恥ずかしいことしたのに、まだ照れるんだオレ!

 でもそれを伏竜に見透かされてたみたいだ。

 くっくっと笑う声がして「だから墨星のことは好きなんだよ」と甘く囁かれた。
 ハズカシイー! でも嬉しいー! と顔を覆う。

 それから湯舟の中でもキスしあってると、伏竜に尻を揉まれた。
 それはもう、いやらしい手つきで。

 「ちょっ、何してるんだよ! 伏竜のえっち!」
 「揉みたくなるケツ振ってっからだろ」
 「振ってないし! 伏竜のばか! えっち!」

 それから伏竜に抱きかかえられてバスルームから出ると、体を拭かれた。

 「オレも伏竜を拭くー!」と意気込むも、伏竜の背は高くて頭まで拭き辛い。
 すると伏竜が屈み、髪を拭かせてくれた。くっ……好き……!

 そこでもキスしたり、伏竜がワザとエッチな拭き方をするからオレのモノが反応したりしちゃったけど、何とか長風呂はおわった。


 そうしたら、部屋の中には、ベッドの上に鳳雛のメモと、オレ用っぽい服が畳んで置いてあった。

 『サービスだよ。御馳走様(笑)』とか書いてあったけど、あいつ……! 風呂での一部始終、盗み聞きしてたな!! 変態め!

 オレがプンスコ怒ってると、伏竜に頭をポンポンされた。

 「聞かれて困る内容じゃねぇだろ」
 「そ、そうかな?」
 そういうものかなーってオレが考えてると、伏竜が耳元で囁いた。

 「……なんなら、もっと聞かせてやるか?」

 ボンッ てオレの顔が赤くなる! な、何てこと言うんだよ!
 伏竜からの甘い言葉の数々に、オレは振り回されっぱなしだった。

 それから伏竜に抱きしめられながら、ベッドで眠ることになった。
 伏竜は相当に疲れていたらしい。直ぐに寝息が聞こえてきた。
 規則正しい寝息を聞きながら、オレはずっと考えてた。

 (伏竜……ねえちゃん……皆……)

 今までの思い出が駆け巡る。
 そして、これからのことがオレの胸を曇らせた。

 そうしてしばらくしてから、オレは起き上がり、衣服を身に纏う。
 あのナイフを持って。

 「……伏竜、ごめんな……」