全員がオレを見る。
オレと引き換えなら、伏竜の記憶を奪った奴がわかって、姉ちゃんの居所もわかる……?
でもオレが何か言う前に、伏竜が烈火の如く激怒して怒鳴った。
「你他媽要我! 找死嗎!!(ふざけんな! 死にてぇのか!)」
伏竜はオレを抱えていたから冥に近づくだけだったけど、そうでなければ胸倉を掴んでいただろう……てくらいの勢いだった!
そんな伏竜と冥の間に鳳雛とティグルが割って入る。
「まあまあ、伏竜。冥の話の詳細を聞こうじゃないか。鳳雛は、とんだムダ足を踏まされたのだから、その権利ぐらいあるだろう?」
「フーロン、モーシンのコト、ちゃんと話を聞くべきダ」
伏竜が舌打ちする。
しかし冥は気にもせずに話を続けた。
「言った通りです。情報が危険すぎて玄武門派でもトップシークレットなのです。それに見合うのは、最高の霊物・人魚くらいです。人魚の番の呪いなら、鳳雛に解き方をお教えしましたです」
ぎくりとした。
オレは、あのナイフをまだ持ってる。
けど、伏竜は驚くことなく続けた。
「ああ、オレを殺して血を浴びれば人魚に戻れるナイフってやつか」
え!?
「伏竜……?」
オレが伏竜を見ると「人魚姫の童話くらい、ガキでも知ってるだろ」と言い出した。
「急に、あからさまに怪しいナイフ持って狼狽えてりゃあ、馬鹿でもわかる。鳳雛のやりそうなこった」
「伏竜……オレに殺されそうになってたのに、知らないふりしてたの?」
問いかけると、伏竜はオレを見つめた。
「……覚えてねぇが、手前を人魚じゃなくしちまったのはオレなんだろ。大体、手前が自分の為に他人の命を奪えるタマとは思ってねぇよ」
どくん と心臓が揺れた。
顔が熱くなって、体にも熱がゆっくりと走る。
こいつ、殺されるかどうかわかんない相手の為に、命がけで助けにきてくれたんだ……。
心配して、抱きかかえて、オレの為に怒ってくれて……。
オレ、こいつのこと、いつの間にか好きになってるって自覚した。
いつも文句を言いながら守ってくれて、不器用な優しさで庇護してくれた。
伏竜自身も、そんな自分に戸惑ってたかもしれないけど。
オレは伏竜の首にしがみつく。
「伏竜……ッ! ごめん! ごめんな!」
「墨星……泣いてんじゃねぇよ。泣き虫小僧が」
「だって、オレ……お前のコト、殺そうとしてて……ッ!」
そこで伏竜がオレの涙を唇で拭った。
「気にしてねぇよ」
「伏竜……」
すると冥が「話を続けてもいいですか?」と抑揚のない声で告げた。
オレは赤面して我に返り、こくこくと頷く。
あくまで冥はビジネスとして来てるんだ。情緒とか関係なかった。
「人魚は人間になっても最高の霊物です。どの組織も欲しがるです。性奴隷としての価値が高いですから」
オレはさっきまで男達に輪姦されたことを思い出し、ゾッとした。
道具みたいに扱われて犯されて、体中、汚された……。
そんなオレの耳元で伏竜が囁く。
「大丈夫だ。俺がもう2度と、あんな目に遭わせねぇ」
優しい声に安堵していると、冥が此方を見る。
「正直、ウチも人魚が欲しいです。ただ、玄武門派は略奪はしませんです。だから、交渉の場を設けました。伏竜サンの記憶の在り処と墨星サンの姉君の行方をセットで教えるかわりに、ウチは墨星サンを玄武門派に頂きたい。どちらも非常に危険な人物が関わっている情報ですから、割引サービスは出来ませんのです」
それは困る、と鳳雛とティグルが順に声を荒げる。
「人魚は鳳雛も欲しいんだ。玄武門派は墨星を青龍門派と合同でオークションに出したくらいなんだろう? 1億か? 10億か?」
「あれは相応のモノを青龍門派の老大から頂きましたからです」
「モーシンはモノじゃなイ!」
「玄武門派では自分の命も売り物扱いです。ウチは拷問されても譲りませんのです」
埒があかない状況に、伏竜が皆を止めた。
「もういい! 交渉も何も、墨星の意思を無視して好き勝手喚くなら時間の無駄だ! それより今は、墨星を休ませてぇんだよ!」
『おい』とか『手前』ってばかり呼ばれてたのに、伏竜の低く色気のある声で名前を呼ばれて、オレは驚いた。そして、体の芯が甘く疼くのも。
他の皆も伏竜の言う通りだということで、一旦はお開きになったけど……。
部屋を出て行こうとする伏竜の袖をオレは無意識に掴んでいた。
オレと引き換えなら、伏竜の記憶を奪った奴がわかって、姉ちゃんの居所もわかる……?
でもオレが何か言う前に、伏竜が烈火の如く激怒して怒鳴った。
「你他媽要我! 找死嗎!!(ふざけんな! 死にてぇのか!)」
伏竜はオレを抱えていたから冥に近づくだけだったけど、そうでなければ胸倉を掴んでいただろう……てくらいの勢いだった!
そんな伏竜と冥の間に鳳雛とティグルが割って入る。
「まあまあ、伏竜。冥の話の詳細を聞こうじゃないか。鳳雛は、とんだムダ足を踏まされたのだから、その権利ぐらいあるだろう?」
「フーロン、モーシンのコト、ちゃんと話を聞くべきダ」
伏竜が舌打ちする。
しかし冥は気にもせずに話を続けた。
「言った通りです。情報が危険すぎて玄武門派でもトップシークレットなのです。それに見合うのは、最高の霊物・人魚くらいです。人魚の番の呪いなら、鳳雛に解き方をお教えしましたです」
ぎくりとした。
オレは、あのナイフをまだ持ってる。
けど、伏竜は驚くことなく続けた。
「ああ、オレを殺して血を浴びれば人魚に戻れるナイフってやつか」
え!?
「伏竜……?」
オレが伏竜を見ると「人魚姫の童話くらい、ガキでも知ってるだろ」と言い出した。
「急に、あからさまに怪しいナイフ持って狼狽えてりゃあ、馬鹿でもわかる。鳳雛のやりそうなこった」
「伏竜……オレに殺されそうになってたのに、知らないふりしてたの?」
問いかけると、伏竜はオレを見つめた。
「……覚えてねぇが、手前を人魚じゃなくしちまったのはオレなんだろ。大体、手前が自分の為に他人の命を奪えるタマとは思ってねぇよ」
どくん と心臓が揺れた。
顔が熱くなって、体にも熱がゆっくりと走る。
こいつ、殺されるかどうかわかんない相手の為に、命がけで助けにきてくれたんだ……。
心配して、抱きかかえて、オレの為に怒ってくれて……。
オレ、こいつのこと、いつの間にか好きになってるって自覚した。
いつも文句を言いながら守ってくれて、不器用な優しさで庇護してくれた。
伏竜自身も、そんな自分に戸惑ってたかもしれないけど。
オレは伏竜の首にしがみつく。
「伏竜……ッ! ごめん! ごめんな!」
「墨星……泣いてんじゃねぇよ。泣き虫小僧が」
「だって、オレ……お前のコト、殺そうとしてて……ッ!」
そこで伏竜がオレの涙を唇で拭った。
「気にしてねぇよ」
「伏竜……」
すると冥が「話を続けてもいいですか?」と抑揚のない声で告げた。
オレは赤面して我に返り、こくこくと頷く。
あくまで冥はビジネスとして来てるんだ。情緒とか関係なかった。
「人魚は人間になっても最高の霊物です。どの組織も欲しがるです。性奴隷としての価値が高いですから」
オレはさっきまで男達に輪姦されたことを思い出し、ゾッとした。
道具みたいに扱われて犯されて、体中、汚された……。
そんなオレの耳元で伏竜が囁く。
「大丈夫だ。俺がもう2度と、あんな目に遭わせねぇ」
優しい声に安堵していると、冥が此方を見る。
「正直、ウチも人魚が欲しいです。ただ、玄武門派は略奪はしませんです。だから、交渉の場を設けました。伏竜サンの記憶の在り処と墨星サンの姉君の行方をセットで教えるかわりに、ウチは墨星サンを玄武門派に頂きたい。どちらも非常に危険な人物が関わっている情報ですから、割引サービスは出来ませんのです」
それは困る、と鳳雛とティグルが順に声を荒げる。
「人魚は鳳雛も欲しいんだ。玄武門派は墨星を青龍門派と合同でオークションに出したくらいなんだろう? 1億か? 10億か?」
「あれは相応のモノを青龍門派の老大から頂きましたからです」
「モーシンはモノじゃなイ!」
「玄武門派では自分の命も売り物扱いです。ウチは拷問されても譲りませんのです」
埒があかない状況に、伏竜が皆を止めた。
「もういい! 交渉も何も、墨星の意思を無視して好き勝手喚くなら時間の無駄だ! それより今は、墨星を休ませてぇんだよ!」
『おい』とか『手前』ってばかり呼ばれてたのに、伏竜の低く色気のある声で名前を呼ばれて、オレは驚いた。そして、体の芯が甘く疼くのも。
他の皆も伏竜の言う通りだということで、一旦はお開きになったけど……。
部屋を出て行こうとする伏竜の袖をオレは無意識に掴んでいた。



