神海SIREN暗部界

キレまくるティグルに鳳雛は笑った。

「白虎門派の老大・ティグルか! キミらは体が頑丈だからね。解剖のし甲斐があったよ! 悲鳴すら上げずに最期まで耐えていたからね。逢わせてあげようか? もう標本になってるがね!」

アホ――――――――――――――――――――――――!!
挑発してどうする! バカ! タコ! 
鳳雛の隣りの伏竜もドン引きしてるし!
てか、ティグルって白虎門派のボスだったの!? 

鳳雛の言葉にティグルが、わなわなと震え、素早く両手に銃を取り出す。
そしてオレを背中に庇うようにして身構える。

鳳雛は双銃を前にしても笑みを浮かべている。嬉しそうに笑いやがって!

「白虎門派は四門派でも唯一の銃使い! 銃修だったね! 一度撃たれてみたかったんだ!」
変態だ!! とオレが叫び、ティグルがオレを振り返る。

「モーシン! フォンチュは危ない男! モーシンは渡さなイ!」

アイツが危ないのは身に染みてわかってるんだけど!
殺してもまた来るから無意味だって伝える前に、伏竜が剣をティグルに向けた。

「馬鹿野郎! 中央区は中立地帯だ! 老大同士がドンパチしていい場所じゃねぇんだよ!」

伏竜の言葉にティグルは鋭い気配を抑え、渋々と双銃を腰のホルダーに仕舞った。
それでも鳳雛への憎悪は消えていないのか、八重歯を噛みしめている。
なんかそれが可哀相になっちゃって、オレはティグルの毛皮の衣服を引っ張った。

「なあなあ、ティグル。鳳雛は殺しても何人もクローンが居るから無駄なんだよ。ティグルの仲間を殺した鳳雛は伏竜が殺したし(多分)悔しいだろうけど、どうしても殺したいなら、いつかチャンスがくるまで待った方がいいって! って、ごめんな、耐えるのキツイよな」
「モーシン……」

それでティグルは少し落ち着いた……ように見えた。
しかし急に大きな体でガバッと抱きしめられる! そしてまた熱烈に告白された。

「モーシン、賢くて優しイ! ワタシ、モーシンとケッコンしたイ!」

え? 賢い? 初めて言われたな~エヘッ♥とか思っていたら!
そのまま抱き上げられ(お姫様抱っこ!)連れ去られようとした!
ちょっと待ってください! オレの了承は!? このまま結婚コース!?

すると伏竜が怒鳴った。

「ふざけてんじゃねぇぞ! そいつを返せ!」
しかしティグルは伏竜に見下した目を向ける。

「嫌ダ。モーシンは、青龍門派にも朱雀門派にも渡さなイ。オマエ達、信用できなイ」
「ああ!? 手前ならソイツに相応しいって言うのか!?」
「青龍門派、人を売買すル。人魚のモーシン、絶対渡せなイ。ワタシ、モーシン愛してル」
「ふざけんな! 白虎門派は移民の巣窟だろうが! 人魚まで人種コレクションする気か!?」

今度は伏竜が激怒しだした。伏竜の言葉にティグルも再びピリピリしだした。
伏竜は霊力が篭った剣をティグルに向けて戦闘態勢に入っている。

おい! 馬鹿! お前が此処は中立地帯って言ったんだろ!
オレはティグルの腕から飛び降りると、ティグルと伏竜の間に入って腕を拡げ、二人を仲裁しようとする。

「待てって伏竜! 此処って争っちゃいけない場所なんだろ!? 自分で言ってて忘れるなよ! どんだけ忘れっぽいんだよ馬鹿! ティグルも、オレの意見聞かずに拉致しようとするなってば! オレはモノじゃないぞ!」
「……ッ!」
「モーシン……すまなイ……」

それでようやく二人は落ち着いたみたいだった。
伏竜が剣を手の平の中に仕舞う。
ティグルからは熱烈に見られてるし……。
人目につきだしたし、どうしたものかと思っていると、鳳雛が提案した。

「何処かの店にでも入って、一旦情報を整理したほうがいいようだね」

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