玄武門派の縄張りは島の北側。
つまり、朱雀門派の縄張りとは真逆だったから、遠路でもある。
宿をとりながら向かうことになったわけだけど……。
「止めろって! 伏竜!」
「うるせぇ! 俺だって好きでやってんじゃねぇ!」
安宿の一室、ベッドの上でオレは自分のズボンを押さえる。
逆に伏竜はオレを脱がそうとして必死だ。
ベッドは暴れる男二人の体重を支えるのに必死なのか、ギシギシと喚いて五月蠅い。
なんでこんなことになってるんだよー! と叫ぶと、伏竜が答えた。
「俺は俺の記憶を奪った奴をブチ殺す! その為には力が必要だ!」
だから双修してまた力を高めたいらしい。
鳳雛すら殺せる程に力が高まったことが、伏竜を双修へと駆り立てたのだ。
確かに伏竜は船の上でも強かったけど、朱雀門派との戦いでは別格だった。
けど! けど、そんなのオレの意思を無視してるじゃん!
「オレはお前の便利道具じゃないぞ!」
伏竜を蹴り飛ばすも、足首を掴まれて抵抗を奪われる。
ぐいっ と引き寄せられ、伏竜の鍛え抜かれた腹筋にオレの股座があたる。
悔しいけど、あの海での交尾を思い出してオレのモノは昂っていた。
それを見た伏竜は唇を舐めて笑う。
「嫌がってる割に、体は反応してるじゃねぇか」
「……!」
恥ずかしい!
このまま無理矢理に犯されると思ったオレは、みっともなく泣き叫んでいた。
「うわぁぁああああん! 白月! 怖いよ! 白月ねーちゃん! 助けて! ねーちゃぁあん!」
「……ッ!」
そこで伏竜の動きが止まった。
涙で滲む視界には、気のせいかもしれないけど、躊躇する伏竜の表情が見えた気がする。
そんな喧騒の最中「馬鹿だね」と、聞き覚えのある声がした。
声の方向を向くと、窓に鳳雛が座って、笑顔で手を振っていたのだ。
即座に伏竜がオレを背に庇うように身構える。
けど鳳雛は両手をひろげて、やれやれと言った風に呆れている。
伏竜が「何で手前が此処に居やがる!」と怒鳴るも、鳳雛は涼しい顔で説明した。
「双修は二人の心が一つになってこそ、お互いの霊力を高め合う。レイプでは朱雀門派の性奴隷と同じだ。片方は潰れて、片方だけが霊力を得る。貴重な人魚を潰されては困るのだよ」
え……? それじゃあ、あの海での出来事は、伏竜とオレ……と考えかけて首を振る。
そっ、そんなわけない!
大切なら他のことを覚えてるのにオレのことだけ忘れるもんか!
伏竜にとっては一夜の遊びでも、オレは初めての交尾だったんだぞ! しかも男と!
い、いや、それよりも!
「それよりも! 何でオマエがついてきてるんだよ!」
オレが伏竜から距離をとりながら問いかけると、鳳雛はきょとん、とする。
「最高の霊物の人魚を研究したいと思うのは、朱雀門派のサガだろう?」
だからって老大(ボス)のお前が本拠地をカラにしていいのかと問いかけたけど、そうだ、こいつ何人も居るんだ!
でも鳳雛は何処からともなく札束と光る石を出すと、ニッコリ笑った。
「心配せずとも、二人の目的が果たされるまで邪魔はしないさ。それにキミ達、ほぼ無一文だろう? 鳳雛なら金も霊石も持っているし、玄武門派の得意先だ。顔が利く。同行させて損は無いと思うがね?」
「……」
「……」
オレと伏竜は沈黙した。図星だったからだ。
今だって、金が無いから、こんな安くて汚い宿にしか泊まれなかった。
だからって鳳雛が信用に値するわけじゃないけど。
伏竜は溜息をついた後、オレを守るみたいに片手を伸ばして背に隠した。
「……玄武門派の縄張りまでだ。それ以降、貴様とは絶対に行動しねぇ」
えーっ!? 鳳雛も連れてくの!?
勝手に決めるなよ! とオレが抗議すると、伏竜は「仕方ねぇだろ!」と悔し気に唇を噛む。
そこには、朱雀門派を離れてから、青龍門派のアジトへ帰ろうとした時の伏竜の苦い体験が絡んでいたからかもしれない。
つまり、朱雀門派の縄張りとは真逆だったから、遠路でもある。
宿をとりながら向かうことになったわけだけど……。
「止めろって! 伏竜!」
「うるせぇ! 俺だって好きでやってんじゃねぇ!」
安宿の一室、ベッドの上でオレは自分のズボンを押さえる。
逆に伏竜はオレを脱がそうとして必死だ。
ベッドは暴れる男二人の体重を支えるのに必死なのか、ギシギシと喚いて五月蠅い。
なんでこんなことになってるんだよー! と叫ぶと、伏竜が答えた。
「俺は俺の記憶を奪った奴をブチ殺す! その為には力が必要だ!」
だから双修してまた力を高めたいらしい。
鳳雛すら殺せる程に力が高まったことが、伏竜を双修へと駆り立てたのだ。
確かに伏竜は船の上でも強かったけど、朱雀門派との戦いでは別格だった。
けど! けど、そんなのオレの意思を無視してるじゃん!
「オレはお前の便利道具じゃないぞ!」
伏竜を蹴り飛ばすも、足首を掴まれて抵抗を奪われる。
ぐいっ と引き寄せられ、伏竜の鍛え抜かれた腹筋にオレの股座があたる。
悔しいけど、あの海での交尾を思い出してオレのモノは昂っていた。
それを見た伏竜は唇を舐めて笑う。
「嫌がってる割に、体は反応してるじゃねぇか」
「……!」
恥ずかしい!
このまま無理矢理に犯されると思ったオレは、みっともなく泣き叫んでいた。
「うわぁぁああああん! 白月! 怖いよ! 白月ねーちゃん! 助けて! ねーちゃぁあん!」
「……ッ!」
そこで伏竜の動きが止まった。
涙で滲む視界には、気のせいかもしれないけど、躊躇する伏竜の表情が見えた気がする。
そんな喧騒の最中「馬鹿だね」と、聞き覚えのある声がした。
声の方向を向くと、窓に鳳雛が座って、笑顔で手を振っていたのだ。
即座に伏竜がオレを背に庇うように身構える。
けど鳳雛は両手をひろげて、やれやれと言った風に呆れている。
伏竜が「何で手前が此処に居やがる!」と怒鳴るも、鳳雛は涼しい顔で説明した。
「双修は二人の心が一つになってこそ、お互いの霊力を高め合う。レイプでは朱雀門派の性奴隷と同じだ。片方は潰れて、片方だけが霊力を得る。貴重な人魚を潰されては困るのだよ」
え……? それじゃあ、あの海での出来事は、伏竜とオレ……と考えかけて首を振る。
そっ、そんなわけない!
大切なら他のことを覚えてるのにオレのことだけ忘れるもんか!
伏竜にとっては一夜の遊びでも、オレは初めての交尾だったんだぞ! しかも男と!
い、いや、それよりも!
「それよりも! 何でオマエがついてきてるんだよ!」
オレが伏竜から距離をとりながら問いかけると、鳳雛はきょとん、とする。
「最高の霊物の人魚を研究したいと思うのは、朱雀門派のサガだろう?」
だからって老大(ボス)のお前が本拠地をカラにしていいのかと問いかけたけど、そうだ、こいつ何人も居るんだ!
でも鳳雛は何処からともなく札束と光る石を出すと、ニッコリ笑った。
「心配せずとも、二人の目的が果たされるまで邪魔はしないさ。それにキミ達、ほぼ無一文だろう? 鳳雛なら金も霊石も持っているし、玄武門派の得意先だ。顔が利く。同行させて損は無いと思うがね?」
「……」
「……」
オレと伏竜は沈黙した。図星だったからだ。
今だって、金が無いから、こんな安くて汚い宿にしか泊まれなかった。
だからって鳳雛が信用に値するわけじゃないけど。
伏竜は溜息をついた後、オレを守るみたいに片手を伸ばして背に隠した。
「……玄武門派の縄張りまでだ。それ以降、貴様とは絶対に行動しねぇ」
えーっ!? 鳳雛も連れてくの!?
勝手に決めるなよ! とオレが抗議すると、伏竜は「仕方ねぇだろ!」と悔し気に唇を噛む。
そこには、朱雀門派を離れてから、青龍門派のアジトへ帰ろうとした時の伏竜の苦い体験が絡んでいたからかもしれない。



