ジョサイアはお酒を飲んでいたのか、顔が赤い。肌の色が白いので、すぐに酔いが顔に出てしまうようだ。

「ええ。良い温泉だったわ。陛下にも、感謝しなければ」

 本当に素晴らしい温泉で、気分爽快だった。本来ならば、王族にしか楽しめないらしいのに……本当に感謝しかない。

「アルベルトも、ここへ来たがっていました。離宮を使う権利はあれど、行使は出来ないと。当分は……無理そうですが」

 ジョサイアは苦笑して、持っていたグラスを机に置いた。

「臣下の貴方が多忙ということは、陛下も……?」

 何分、いろいろと隠さねばならない身分の陛下の仕事ぶりを、側近の彼に聞いて良いかすらもわからず、ふわっとした言い方になった。素直な質問かと思ったのか、ジョサイアは苦笑して頷いた。

「話すと不真面目に見えるかもしれませんが、アルベルトはこういう時には、率先して動きますので」

 この前に話したアルベルト様は、少々軽い性格だったみたいだけど、真面目なジョサイアがこう言っているくらいだから、きっと公務には熱心な方なんだろう。