「本当に?」

「本当です」

 私はオフィーリア様と会おうとして、それが心の中にあったので、罪悪感めいたものは感じた。

「……そうですか」

 ジョサイアはなんだか、不機嫌そうだ。結婚する前からもずっと仕事が忙しくて大変なのだから、それもそうなってしまうのかもしれない。

 ここで、私が彼に「オフィーリア様の居場所が見つかったらしいですね。会いに行ってみてはいかがですか?」と言えば良いのかもしれないとは思ったものの……機嫌の悪い時に切り出してしまうのは、なんだか躊躇われた。

 結局、何も言えず二人無言のままで、離宮までの道を馬車に揺られるしかなかった。


◇◆◇


 広い温泉は素晴らしくて、私は長い時間楽しんだけど、本当にゆったりとした気分になれた。

 けれど、モーベット侯爵邸とは違い、この離宮では当たり前のように夫婦同じ部屋が用意されていた。ここで別々の部屋を用意しろとも言えずに、ベッドの端にお互い寄れば良いかと思っていた。

「あら。ジョサイア。先に出ていたのね」

「ずいぶん、長風呂でしたね。レニエラ。ゆっくり出来ましたか」