「僕も噂に聞いた限りだけど……あの、大きな港街シュラハトがあるだろう? なんでも駆け落ちした騎士と別れた後に、そこに船団を持つ、豪商の愛人みたいな立場に納まっているらしいよ。つまり、乗り換えたんだろうね。義兄さんが居場所を知っていても、彼女に会いに行っていない時点で、二人の関係はどういったものか知れるけどね」
「え。けど、ジョサイア本人は……オフィーリア様がどこにいるか居場所を、既に知っているの?」
驚いた私にアメデオは、肩を竦めて頷いた。
「いや、それはそうだと思うよ。僕がこんなことを言うのもおかしいけど、モーベット侯爵は未来の宰相候補だ。既に権力者の一人なんだから、彼女の行動は、一番に彼の耳に入ると思う。だから、姉さんはもう気にしなくて良いんだって。義兄さんはいろいろあったけど姉さんと結婚出来て、今は幸せそうだと評価されているんだから」
「そう……」
けど、ジョサイアがもし、彼女に会いたいと望んでも、今は私という名目上の妻が既に居るのなら、大手を振って迎えに行ける訳がないわ。



