だから、私の夫であるジョサイアだって、若くして侯爵位に就いたんだった。お義父様はまだ若く健康で、息子に爵位を譲る必要なんてなかったのに。

「そうそう。幼い頃から地位を固めてきた側近たちは、王を守るための盾になるから、政治的に考えれば、王太子が即位するなら、彼らだって各家の貴族当主である必要があるよね。爵位も持たぬ若造が何をと、議会で言われても、その通りなんだから……何も言えなくなるしね」

 ジョサイアは、普通の貴族ではない。王家の血も濃いし、名実共に王家の側近だ。

 そんな彼がオフィーリア様以外の女性と、親しくしたことはないだろうという、アメデオの簡単な推論だって成り立つ。

「……ねえ。アメデオ。ジョサイアはオフィーリア様のことを、忘れられないのではないかしら?」

 幼い頃から、少し前まで婚約者同士で……とりあえずで結婚した妻の私にだって、彼女と同じようにして大事にしているくらいだもの。

 未だに忘れられず……妻の私を、居なくなった彼女の代わりにしているのかもしれない。