労いを込めた私の言葉を聞いて、ジョサイアは何故か無言になり、朝食を取っていたはずの動きが固まってしまっていた。

 しんとした沈黙の中で、私のカラトリーの立てる小さなカチャカチャとした音だけがして、妙に居心地悪く朝食を食べた。

 ……さっきの私、何も変なことは言ってないわよね?  疲労した様子の夫に休息を提案するのって、別に普通のことだもの。

「君は……休みなのだから、自分を楽しませるために、どこかに連れて行くのは当然だとは言わないんだな」

「……? ええ。ああ! ……ふふ。気にしなくて良いわ。ジョサイア。オフィーリア様はそういう我が儘を言う、可愛らしい方だったのね」

 ドレスの件と良い、とんでもない女性だったのねと言いそうなところ、私は咄嗟に彼女を良いように言い換えることに成功した。

 私にとっては、とんでもない女性に思えても、ジョサイアにとっては忘れることの出来ない愛する女性だったみたいだし……彼と関係を悪くすることは、私は望んでいない。

「いや! ああ……悪い。違うんだ。そういう話は、君の前では良くないとわかっているんだが、参ったな……違うんだ。レニエラ」