ジョサイアは私がこうだろうと想像していたよりも、かなり生真面目な性格の人らしい。私の答えを聞きホッと安心した様子で、彼は続きを話し始めた。

「アルベルトも僕と同じ理由で、最近公務で忙しい日々が続いています。なので、昼に城に来て、庭園でお茶でもという訳にはいかないのです。王家主催の夜会ならば、予定は崩せずに、アルベルトも仕事の内です。ぜひ、そこでレニエラと話したいと言っています。だから、僕と一緒に出席して欲しいんですが」

 アルベルト陛下に会えると聞いて、パッと私の頭に浮かんだのは少々の打算だ。

 だって、私が近い未来に成功した実業家になって、商品を発売をした時に『王家御用達』の売り文句があれば、とても引きが強いんだもの。

 従兄弟とすぐに離婚してしまう予定の契約妻だったとしても、ぜひこの機会に知り合いになって、願わくばすべての事情を知っておいてくれる程度に仲良くもなっておきたい。

「ええ。もちろんです。ジョサイア。あの……お願いがあって」

「なんでしょう?」

「陛下にお会いするのなら、夜会用のドレスを新調したいと思うのですが」