心がきゅんする契約結婚~貴方の(君の)元婚約者って、一体どんな人だったんですか?~

「レニエラ。僕たちは、あまりお互いのことを知らない。急に夫婦になったところから関係を始めることになるけど、これからゆっくりと、知り合っていきたい。僕が今ここで言葉を重ねて何を言ったところで、君に嘘だと判断されれば、それには何の意味もないと思う」

「そうね。まだ私たちは、初対面で挨拶し合って二週間だもの。けど、別に同情したり気を使わなくて良いわ……私は、一人でも大丈夫だから」

 そろそろこの話を切り上げようと、私がソファから立ち上がれば、ジョサイアは礼儀正しく酔ってよろめきつつも立ち上がった。

 ここは人目のない夫婦の部屋で、彼だって今日は一日中、周囲に気を使って疲れているだろうに……きっと、ジョサイアは、とても真面目な性格なんだわ。

 まるで、夜会でエスコートをしてくれるように、ジョサイアは私の手を取って導き、続き部屋の扉の前にまで連れて来た。

 お礼を言って就寝の挨拶をしようと背の高い彼を見上げれば、落ち着いて低い声が鼓膜に響いた。

「一人で大丈夫だと……そうやって、元婚約者から婚約破棄されてからずっと、自分に言い聞かせて来たんですか?」