モーベット侯爵は若くして即位された現王陛下の従兄弟にあたり、王家の血を濃く引いている。先王の姉で現王の伯母様が、このジョサイア様の母、つまり王女がモーベット侯爵家へ降嫁されたからだ。
何もかも持ち生まれた貴公子とは、彼のこと……ええ。突発的かつ予測出来なかった異常事態に陥らなければ、夜会中に元婚約者から婚約破棄されたという過去を持つ、いわく付き令嬢の私となんて、絶対に結婚しない人。
「ジョサイア・モーベットです。レニエラ嬢。お目にかかれて光栄です」
モーベット侯爵の短い挨拶は、貴族の社交辞令が良くある感じで続くのかなと、なんとなく思っていた。
何故ならば、心からそう思っていなかったとしても、息を吸うようにお世辞を言い合うのが、貴族の定番の社交術だからだ。
貶されるより褒められた方が、誰もが気分が良い。例えそうだとしても、我が国での社交辞令の文化は円熟を深め、なんだかたまに滑稽(こっけい)に思えるくらいに度が過ぎてしまっている。
何もかも持ち生まれた貴公子とは、彼のこと……ええ。突発的かつ予測出来なかった異常事態に陥らなければ、夜会中に元婚約者から婚約破棄されたという過去を持つ、いわく付き令嬢の私となんて、絶対に結婚しない人。
「ジョサイア・モーベットです。レニエラ嬢。お目にかかれて光栄です」
モーベット侯爵の短い挨拶は、貴族の社交辞令が良くある感じで続くのかなと、なんとなく思っていた。
何故ならば、心からそう思っていなかったとしても、息を吸うようにお世辞を言い合うのが、貴族の定番の社交術だからだ。
貶されるより褒められた方が、誰もが気分が良い。例えそうだとしても、我が国での社交辞令の文化は円熟を深め、なんだかたまに滑稽(こっけい)に思えるくらいに度が過ぎてしまっている。



