ああ……もしかしたら、私から契約結婚を言い出したのは、ジョサイア本人に不満があるからと、彼は勘違いしているのかもしれない。

 そんな訳なんて、あるはずがないのに。

「いいえ! ジョサイアは女性から見た時の結婚相手としては、この上ない程に特上ですわ。だからこそ、思うのです。貴方の望むような、素敵な女性と幸せになってほしいと」

「僕はそうするつもりです。レニエラ」

 彼の逃げた元婚約者は、とても美しい人だったと聞く。彼は彼女のどんな我がままも叶え、とても大事にしていたと。

 だから、ジョサイアになら、そんな人はすぐに見つかる。もし、私という契約妻が居たとしても、周囲には条件に合う美人が取り巻くだろう。

 だから、これからゆっくりと時間を掛けて、彼が愛せる人を、もう一度探し直せば良いのだわ。

「ジョサイア。我慢しなければいけないのは、これから一年間だけです。そうすれば、私の方に非があるという適当な理由で別れましょう」

「え? 何を言い出して……」