結婚式でのお祝いムードの醒めやらぬ今では、あんなに多くの親しい方々からの祝福を貰って……と、ついつい罪悪感が湧いてしまうけど、本当に愛し合っていた二人だったとしても離婚する夫婦だって多いんだから、時間が経てば彼だって冷静になれるはず。

「ええ……レニエラ。君は本当に、美しかった……君用に一からドレスを作り直せなかったことは、大変不満だが」

 このところ、ジョサイアをひどく悩ませていたはずの結婚式も、もう既に終わってしまったというのに、彼は私のドレスのことをまだ気にしてる様子。

 契約妻にも気を使う優しい夫に、私は微笑んで肩をすくめた。

「気にしないで。ジョサイア。あんな豪華なドレスを一から作り直すなんて、何ヶ月掛かると思っているの? 王家専門のお針子室が不眠不休でサイズ直しをしてくれて、まるで私用に最初から誂えてくれたみたいだったわ。素晴らしい技術よね。貴方も、素敵だったわね……今日はゆっくり休んで。邸に滞在中の親族の手前、形だけでもここに来ただけで、私はすぐに隣の自室に行くわ」