「けれど、君は彼のことが好きそうではなかった……違う?」

 私にそういう意味で声を掛けたのなら、他を当たって欲しいと言いたかったんだけど……間髪入れずに返されてびっくりした。

 もっと驚いたのは、目の前に居る彼には、ジョサイアと私が仲睦まじい婚約者に見えていなかったことだ。

「……どういう意味ですか?」

「いいや、君を好きでもなく、君が好きでもない男と結婚するなんて……嫌ではないですか?」

 それはもしかしたら、はっきりした根拠もなく、適当なことを言っていたのかもしれない。明るい光の中で見えた彼は、まるで詐欺師みたいな見た目をしていたもの。

 それでも近い未来の私は結果的には、たった一度の人生を、この時に出会った男性と過ごすことを選んだのだった。