……鼻で笑っちゃう。なんで私自身でもないのに、私が許す範囲を何処までかを決めようとするのよ。自分のことだけ気にしてなさいよ。

 ジョサイアが彼女と結婚したいから婚約解消してくれと言えば、私はすんなり頷き多額の慰謝料を貰って素敵な男性を探していただろうけど、ここで「私以外に、好きな女性が居るんでしょう?」って言い出すのも、それはそれでおかしくないかしら?

 とてもおかしいと思うの。それを言い出すなら、ジョサイアの方からでしょう。

 別の女性を愛する男と結婚なんて絶対に嫌なんだけど、婚約解消を自分から言い出すなんて絶対に意味不明だという二つの気持ちの中で、私は揺れ動いていた。

「ジョサイア……私、暑くなって来たから、外に出て涼みに行って来るわ」

「わかった。一緒に行こうか?」

「いえ。すぐに戻るわ……それに、そろそろお開きの時間よ」

 私が居なくなれば、気を使わずに彼女を思う存分見られるわよ。良かったわね……なんて、少し意地悪なことを思いつつ、私は身を翻した。

 とは言え、このまま行くと、ジョサイアと私は結婚するしかなくなってしまう。