そうね。確かにそうなのかも……けど、私は目の前のジョサイアが完璧な婚約者であろうが、完璧な夫であろうが、自分を愛さない男とは結婚したくない。

 婚約したからと、義務感で結婚されるなんて、絶対にごめんだと思う。

「……ありがとう。ジョサイア……相変わらず、踊るのが上手ね」

「オフィーリアも……上手いよ。僕のせいで、夜会にあまり出られなくてごめん」

 私は頬笑んで、首を横に振った。ええ。私たちったら喧嘩もしたことのない、仲の良い婚約者同士だと思われているものね。

 ……けど、皆さん。知っています?

 隣に居るこの男は、私がどんな贅沢を望んでも、どんな我が儘を言っても、とりあえず叶えていれば黙ってくれるし都合が良いと思っている嫌な男なのよー!

 好きな女が他に居るのに、親に決められたからって、何も言わず、そのまま結婚することを選ぶような腰抜けなんですよー!

 楚々として歩く私は、周囲の貴族たちに感じ良く微笑み会釈をしながら、大声で断罪したい気持ちでいっぱいだった。