それは別に無限にお金の成る木を森ほどに保有しているようなモーベット侯爵家の財力のせいでも、なんでもなくて、仕事熱心で真面目だから、使う方法を知らないらしい。

 私はそんな夫と、今の話題にぴったりな解決方法を思いつき提案した。

「ねえ。ジョサイア。私たちがたくさん贈り物を持って、彼女の引っ越し先に黙って遊びに行くというのはどうですか? ……道中で、彼女の好きそうなお土産を買うのも良いですし……きっと、喜んでくれるはずです!」

 異国の地で住むのだから、旧知の仲の顔は格別な贈り物になるはずだと私が言えば、ジョサイアは驚きつつも笑ってくれた。

「オフィーリアはそういう驚かせ方を、自分がよく人にするから、きっと喜んでくれるはずだ」

「手紙を書くと言ったら、住所も教えてもらっているんです。そうしましょう? ……ジョサイアだって、これまで本当に大変で働き詰めだったんだから、長いお休みも取っても良いでしょう?」

 とは言え、それはオフィーリア様の優柔不断な婚約者に対する、ほんの仕返しだと知って、本当に強い女性とはかくもあらんと私は思った。