とはいえ、ショーンのことを考えて嫌な思いになるなんて、本当に時間の無駄だし、切り替えましょう。

 ……あ。そういえば、オフィーリア様へ送るサンプルを忘れていたわ!

「あ。ジョサイア。私オフィーリア様に、至急送らないといけないものがあるんですけど……」

「……オフィーリアも既に君の事情は知っているし、大丈夫だ。レニエラ」

 ジョサイアは当たり前のようにそう言ったけど、私の頭の中には疑問符が溢れた。

「え。どうして、知っているの?」

「君が攫われたと聞いた時、僕はちょうどアルベルトと共に居てね。先ほど一緒に着いてきてくれたのは、彼の近衛隊だ。捜索する人を集めている時間も惜しいだろうと、貸してくれた。だから、国中に伝令がまわった。だから、今は誰も国境を越えることは出来ない」

 国王陛下の絶大なる権力、本当にすごい。しかも、時間が惜しいと言って自らの護衛を貸してくれる即断力、とても頼りになるわ。

「……何故?」