「まさか、婚約破棄の真相があれだとは……心底呆れ果てています。同じような国に生まれ同じような教育を受けた同じ年の同性であるとは、とても思いたくないです。恥ずかしくて」
それでは……あれも、もちろん。聞いていたわよね。
「ごめんなさい。私……」
無実の本人を前にして、なんてふしだらなことを言ってしまったのかと、顔を赤くしたけど、ジョサイアは首をゆるく横に振った。
「構いません……本当のことですからね」
ジョサイアは降りようとした私を引き寄せると、馬車の中で顔面蒼白になっていたショーンを一瞥した。
「捕らえろ。王都まで、殺さずに連れ帰れ……僕の妻を誘拐した男だ」
「おい! おい……レニエラ! レニエラ……助けてくれ!」
私はジョサイアに促されて、馬車を出た。
何度か名前を呼んだ気がしたけど、後ろは振り返らなかった。近くには何台か馬車があって……よくわからないけど、周囲には柑橘系の香りもただよう。
……近くに自生している、果実でもあるのかしら?
ショーンの婚約破棄から、一年経った今でも自分の何が悪かったのかと、何度も何度も考えることがあった。
それでは……あれも、もちろん。聞いていたわよね。
「ごめんなさい。私……」
無実の本人を前にして、なんてふしだらなことを言ってしまったのかと、顔を赤くしたけど、ジョサイアは首をゆるく横に振った。
「構いません……本当のことですからね」
ジョサイアは降りようとした私を引き寄せると、馬車の中で顔面蒼白になっていたショーンを一瞥した。
「捕らえろ。王都まで、殺さずに連れ帰れ……僕の妻を誘拐した男だ」
「おい! おい……レニエラ! レニエラ……助けてくれ!」
私はジョサイアに促されて、馬車を出た。
何度か名前を呼んだ気がしたけど、後ろは振り返らなかった。近くには何台か馬車があって……よくわからないけど、周囲には柑橘系の香りもただよう。
……近くに自生している、果実でもあるのかしら?
ショーンの婚約破棄から、一年経った今でも自分の何が悪かったのかと、何度も何度も考えることがあった。



