また大きな声で怒鳴ったショーンは、まるで会ったことのない別の男性のように思えた。今すぐに逃げ出したいと、得体が知れないゾゾっとした恐怖が体中を覆った。
「おい。通常であれば婚約破棄されたら一生、貴族令嬢として結婚も出来ずに、修道女になるか薄給で家庭教師になるくらいしか道はない……レニエラはあのいけすかない弟の影響か、本当に生意気で言うことを聞かなかったから、泣いて謝ってくれば俺は可哀想なお前を庇う予定だった。そこで仲直りすれば、俺の寛容さも際立つだろ?」
なっ……何言っているの? 言っていることが、本当に意味不明過ぎて、理解が出来なくて……駄目。もう同じ空間に居ることすら、無理なんだけど。
ショーンは私に言いたいことを言ってやったとでも思ったのか、フンっと鼻を鳴らすと窓へと視線を戻した。
私はというと、逆に落ち着いていた。
懐かしいわ。この感覚。一年前に、ショーンの顔にホールケーキをぶつけてやった時以来かしら?
……そうね。
確かに、私はしおらしい性格とは言いがたいし、弟のアメデオが居るから深窓の令嬢と言っても男性と話すことには慣れている。
「おい。通常であれば婚約破棄されたら一生、貴族令嬢として結婚も出来ずに、修道女になるか薄給で家庭教師になるくらいしか道はない……レニエラはあのいけすかない弟の影響か、本当に生意気で言うことを聞かなかったから、泣いて謝ってくれば俺は可哀想なお前を庇う予定だった。そこで仲直りすれば、俺の寛容さも際立つだろ?」
なっ……何言っているの? 言っていることが、本当に意味不明過ぎて、理解が出来なくて……駄目。もう同じ空間に居ることすら、無理なんだけど。
ショーンは私に言いたいことを言ってやったとでも思ったのか、フンっと鼻を鳴らすと窓へと視線を戻した。
私はというと、逆に落ち着いていた。
懐かしいわ。この感覚。一年前に、ショーンの顔にホールケーキをぶつけてやった時以来かしら?
……そうね。
確かに、私はしおらしい性格とは言いがたいし、弟のアメデオが居るから深窓の令嬢と言っても男性と話すことには慣れている。



